神戸ドイツ学院インターナショナル(Deutsche Schule Kobe International・DSKI)は、神戸・六甲アイランドにある1909年創立の欧州系インターナショナルスクールです。
英語を主指導言語としながら、ドイツ語と日本語を全児童が学ぶ小規模な多言語校で、IB PYP(初等教育プログラム)の認定とケンブリッジ国際の登録を持ちます。「ドイツ学院神戸」とも呼ばれますが、兵庫県の各種学校一覧に掲載される行政上の名称は「神戸ドイツ学院インターナショナル」です。

検討中の方に最初に伝えるべき重要な更新が2つあります。
第一に、「ドイツ語ができないと入れない学校」ではありません。授業の主言語は英語で、英語がほぼゼロの子ども向けのEALサポートも、ドイツ語初心者向けの追加指導もあります。
第二に、従来「3〜14歳で完結する学校」と紹介されてきましたが、2026/27年度から中等部を毎年1学年ずつ拡張し、Grade 10(IGCSE)まで、さらに2031/32年からはIB ディプロマ(DP)の導入を目指す移行期に入っています。ただしこれは進行中の計画であり、完成した一貫校ではまだありません。
本記事は、学校公式・兵庫県・IB機構・ケンブリッジ国際・ドイツ側公的機関(KMK/ZfA)・文部科学省の一次資料に基づく2026年8月時点の調査から、学費・言語構成・入学条件・評判・進路接続を整理します。公開資料で確認できなかった点は「未確認」と明示し、見学時の確認質問リストにまとめています。
DSKIとは 六甲アイランドの欧州系多言語校
DSKIの起源は1909年、在神戸ドイツ人コミュニティの小さな学校に遡ります。2002年に英語部門を開設、2006年にIB PYP認定校となり、2009年に現在の六甲アイランド(神戸市東灘区向洋町中3-2-8)の校舎へ移転。
2015年にドイツ語部門と国際部門を統合して現在の校名になりました。校舎は持続可能な木材と環境配慮設計(断熱・地中管を使った空調など)が特徴の2階建てで、日本建築家協会のエコ賞を受賞したと学校は説明しています。大規模キャンパスではなく、小規模・木質・環境配慮型という方向性の学校です。
法的には兵庫県認可の各種学校であり、学校教育法第1条の「一条校」ではありません(この意味は後述の進路の章で扱います)。同じ六甲アイランドには大規模IB一貫校の Canadian Academy があり、島内に性格の異なる2つの国際校が並ぶ形です。関西のインターナショナルスクール全体の選び方はガイド記事を参照してください。
【関西】インターナショナルスクール選び方ガイド:大阪・神戸・京都の主要校を徹底比較【2026年版】
認定の正確なステータス
DSKIの認定は、名称から誤解されやすいポイントです。2026年8月時点で一次資料から確認できる状態は次のとおりです。
制度 | ステータス | 補足 |
|---|---|---|
IB | PYP のみ認定(2006年〜) | IBOの学校検索でPYP・指導言語英語を確認。MYP・DPは未認定。DPは2031/32年からの導入を「目指す」計画段階 |
ケンブリッジ国際 | 登録校 | 初等段階で算数・言語にケンブリッジの進度・基準を使用。中等段階(〜IGCSE)は2026/27年から段階導入。Checkpoint受験の有無は未確認 |
ドイツ政府の在外学校認定 | 現在は確認できず | KMKの2026年4月の認定校一覧に日本から掲載されるのはドイツ学園東京のみ。学校自身が認定の「回復(regain)」とZfAネットワークへの「再加入」を目指すと説明 |
ドイツ語ディプロマ(DSD) | 学校発表あり・第三者確認未了 | 将来のDSD I/II取得機会を学校が案内するが、試験実施校としての認可を独立に確認できない |
つまり、「IB校だからDPまである」「ケンブリッジ校だからIGCSEが今ある」「ドイツ学院だからドイツ政府認定校」のいずれも現時点では成り立ちません。正確には、IB PYP認定+ケンブリッジ登録+ドイツ語ネイティブ向け教育課程を組み合わせ、ドイツ政府系ネットワークへの復帰と中高拡張を進めている学校です。
カリキュラムと言語 3言語をどう学ぶのか
「3等分」ではなく「英語が主言語+独・日を全員が学ぶ」
多言語校を検討する家庭が最初に知るべき実態はこれです。学校の公式説明では英語が主指導言語であり、独・英・日を3分の1ずつ学ぶ構成ではありません。
そのうえで、ドイツ語と日本語を全児童が学びます。
公開されている初等部のサンプル時間割から「量」を拾うと、算数が週250分、言語(Language)が週250分。この2教科はクラスによって英語またはドイツ語で実施されます。
外国語としてのドイツ語は週95分、日本語は週180分です。音楽などでも3言語の歌を使うため、学校全体の言語割合を「英語◯%」と百分率にできる公開データはありません(幼児部の言語別時間も非公開)。
言語別のサポート体制は次のように整理できます。
- 英語: ほぼゼロの子ども向けにEAL(担任+EAL教員による個別計画、クラス内+小グループ支援)を明記
- ドイツ語: 全児童が学習。ネイティブの子どもにはドイツ・テューリンゲン州系カリキュラムによる言語・教科学習の経路があり、初心者には1対1・小グループの追加指導。ゲーテ系資格を目指すことも可能
- 日本語: 全児童必修。母語話者には学習指導要領を参考にした「国語」、非母語話者には外国語としての日本語(JLF)
なお、古い紹介記事にある「ドイツ語系と英語系の2ストリーム構造」は2015年の統合で過去のものになっており、現在は英語主体の統合校の内部に、ドイツ語ネイティブ対応の教科経路が残る構造と理解するのが公式説明に近い状態です。
カリキュラムの骨格と学年対応
幼児部(Pre-K〜Kindergarten)はIB PYPベースの探究学習、初等部(Grade 1〜5)はPYPを軸にケンブリッジの算数・言語を組み込み、中等部は2026/27年度からケンブリッジのLower/Upper Secondaryを段階導入する構成です。PYPの仕組み自体は解説記事を参照してください。
IB初等教育「PYP」とは?教科がないって本当?探究学習の仕組みと学力の真実を徹底解説
学年は8月始業のため、日本の学年とはずれがあります。主な対応の目安は次のとおりです(実際の配置は生年月日・編入歴により個別判断)。
DSKIの学年 | 年齢 | 日本の学年の目安 |
|---|---|---|
Pre-K〜Kindergarten 2 | 2〜5歳 | 年少前〜年中 |
Pre-School | 5〜6歳 | 年長 |
Grade 1 | 6〜7歳 | 小1 |
Grade 5 | 10〜11歳 | 小5 |
Grade 6(現行の最上位学費区分) | 11〜12歳 | 小6 |
Grade 7〜10(段階拡張中) | 12〜16歳 | 中1〜高1 |
Grade 11〜12(IB DP構想・未認定) | 16〜18歳 | 高2〜高3 |
行事にはオクトーバーフェスト、聖マーティンのランタン行列、聖ニコラウス、クリスマスなどドイツ・欧州文化が色濃く、多言語環境と並ぶこの学校らしさです。
学費 公式掲載額と初年度総額
公式サイト掲載の料金は次のとおりです(2026年8月12日時点の掲載額。表に年度ラベルがないため、適用年度は出願時に要確認)。
費目 | 金額 |
|---|---|
出願料 | 51,500円 |
入学登録料 | 300,000円 |
授業料: Pre-K/Early Years | 1,609,000円(Pre-Kは消費税対象で税込約1,769,900円) |
授業料: Pre-School/Grade 1〜5 | 1,746,000円 |
授業料: Grade 6(Lower Secondary) | 1,876,950円 |
テクノロジー費 | 36,500円/年 |
施設整備費 | 155,000円/年 |
保険・学校協会費・教材費・PTA等 | 合計 約5〜8万円/年(学年による) |
宿泊行事(Grade 3〜6) | 83,000円/年 |
スクールバス(利用者のみ) | 税込約253,000円/年 |
公開費目を合算した初年度総額の目安は、幼児部で約221〜237万円、Grade 1〜5で約236〜243万円、Grade 6で約259万円(バス利用ならプラス約25万円)です。兄弟割引・一般奨学金の公開情報はなく、駐在家庭向けには企業経由の Corporate Contribution Plan(問い合わせ制)があります。
価格ポジションは明確です。同じ六甲アイランドの Canadian Academy(2026-27年度)は Grades 1〜5 の授業料だけで271万円、新規入学の初年度は主要費目で約410万円。DSKIの初年度はその6割弱にあたります。
「欧州系の小規模校は比較的抑えめ」という通説は、少なくともこの2校の比較では成立します。ただしCAはGrade 12まで完成したIB一貫校であり、施設規模・科目数・高校卒業資格までの完成度が異なるため、単純な割安比較ではない点に注意してください。
入学条件と出願 ドイツ語ゼロでも入れるのか
入れます。 学校はすべての国籍の子どもを歓迎すると説明しており、ドイツとの縁は入学条件ではありません。英語がほぼゼロの子どもにはEAL、ドイツ語初心者には追加指導があるため、「ドイツ語の学校だから無理」という理解は現在の実態と異なります。
ただし、何歳(どのGrade)まで言語ゼロの子どもを受け入れるかの基準は非公開のため、年齢が上がってからの入学は個別相談が前提です。
出願は6ステップ(問い合わせ→事前質問票→見学→出願書類+直近3枚の成績表→トライアル登校→合否)で、入学試験は課さないと明記されています。
ただし日本在住の家庭にはトライアル登校(2〜5歳は9:00〜13:00、6歳以上は8:30〜15:30)があり、教員が言語力・学力・学校生活への準備度を確認するため、実質的な適合性評価は行われます。保護者との連絡言語や学年別の空き状況・年度途中編入の運用は公開されておらず、問い合わせが必要です。
中等部拡張と卒業後の進路 「14歳で終わる学校」から移行中
DSKIを検討するうえで最も大きく情報が動いている論点です。
従来この学校の最大の弱点は、中等教育の途中で学校が終わり、Grade 4〜5頃に他校の中等部の席を確保するため転校する家庭が出ることでした——これは学校自身が公式に認め、中等部拡張の理由として説明している事実です。現在の到達点と計画は次の3段階です。
時点 | 状態 |
|---|---|
2026/27年度 | 学費表上の最上位は Grade 6(Lower Secondary) |
今後数年 | ケンブリッジ中等課程を毎年1学年ずつ増設し、Grade 10(IGCSE)へ |
2031/32年度〜 | IB DP の導入を目指す(認定審査の成功が条件。現時点では未認定) |
計画どおり進めば、いま幼児部に入る子どもが校内で高校卒業相当まで進める可能性は大きく開けました。一方で、Grade 7以降の運営・最初のIGCSE世代・DP認定・大学進学実績はすべてこれからであり、「一貫校化を進めている」と「すでに一貫校である」は区別する必要があります。そのうえで、現時点の進路選択肢は3方向です。
1. 神戸の国際校へ移る
学校公式の進学先リストは公表されていませんが、拡張前の実務的な進路は近隣国際校への転校でした。同じ島の Canadian Academy(PreK〜Grade 12・IB一貫)と Marist Brothers International School(PYP〜DP)が代表的な受け皿ですが、どちらも通常の入学審査(書類・面接・場合によりテスト)があり、学年によってはウェイトプールも発生します。自動接続や優先枠は確認できません。
2. ドイツ系教育を継続する
ドイツの大学入学資格(Abitur)につながる正式な認定在外学校は、KMKの2026年4月一覧では日本国内はドイツ学園東京のみです。ドイツ系経路を確実に続けたい家庭は、東京または海外の認定校への転校が現実的なルートになります。DSKIが構想するIGCSE+IB DP+DSDの組み合わせが完成すれば校内に別ルートができますが、これは将来の話です。
3. 日本の学校へ戻る
日本国籍の家庭が最も注意すべき点です。文部科学省は、一条校でないインターナショナルスクールへの就学は就学義務の履行にならないこと、一条校でない学校の小学部修了者が一条校の中学校へ入学すること・中学部からの途中編入は原則として認められないことを明記しています。
高校段階も、外国人学校の中等部を出ただけでは日本の高校入学資格を自動取得できず、日本国籍の場合は中学校卒業程度認定試験などの論点が生じます(外国籍の場合は高校校長の判断で認められる余地があるなど、国籍・時期・受入校によって扱いが異なります)。つまり「戻れない」と一律に言うのも「いつでも戻れる」と言うのも不正確で、転校の可能性がある家庭は、時期を決める前に居住地の教育委員会と受入候補校へ個別確認することが不可欠です。
評判・口コミ 小規模多言語校の実像
DSKIの評判を定量的に語れる公開データは、実はほとんどありません。学校は総生徒数・クラス人数・日本人比率を公表しておらず、第三者データベースの数値(生徒120名/108名など)は互いに矛盾し、旧情報も混在しています。
独立した口コミも確認できたのは数件で、「子どもが楽しく通っている」「少人数で先生が手厚い」という肯定と「学費が高い」という指摘がある程度です。少数の投稿から学校全体を評価することはできないため、本記事は公式資料と確認可能な事実を軸にしています。
そのうえで言えるのは、
第一に、小規模・少人数指導は学校の一貫した設計思想であること(公式が繰り返し強調)。
第二に、2026年7月には理事会・経営陣・保護者の会議議事録を公開し、拡張計画の資金・キャンパス・生徒数の質疑まで開示するなど、小規模校としては運営の透明性が高いこと。
第三に、懸念面では、児童保護(セーフガーディング)方針の独立した公開ページが確認できず(=方針がないという意味ではなく、公開資料で確認できないという意味)、給食の提供形態やバス路線も非公開のため、見学時に確認すべき項目が比較的多いことです。
向いている家庭・向いていない家庭
向いている可能性が高い家庭
- 英語だけでなく、ドイツ語と日本語にも教育上の意味を持たせたい(欧州との縁がある、将来の選択肢を広げたい)
- 小規模・少人数の環境と、探究型(IB PYP)の学びを好む
- 大規模校の設備よりも、コミュニティの近さと環境配慮型の校舎に魅力を感じる
- 中高一貫化の移行期であることを理解し、計画の進捗を確認しながら付き合える
- 費用は抑えたいが、英語系プリスクール+公立小では物足りない
慎重に検討すべき家庭
- すでに完成した Grade 12 までの体系・大学合格実績・IB DP 認定を今すぐ求める(→ Canadian Academy・Marist が比較対象)
- 英語一本で最大限伸ばしたい(3言語に時間を割く設計が合わない可能性)
- 日本の中学受験・一条校への復帰が既定路線(→ 就学義務・入学資格の制度確認が先)
- 学校との連絡を日本語だけで完結させたい
なお、同じ神戸市内で「途中学年で完結する小規模校」を検討する場合、英国式の聖ミカエル国際学校(3〜11歳)も比較対象になります。多言語のDSKIと英語・英国式特化の聖ミカエルでは設計思想が対照的です。
聖ミカエル国際学校の学費・入学条件と評判 神戸の英国式インター小学校【2026年版】
見学・説明会で確認したい質問リスト
公開資料で確認できなかった重要事項です。重要度順に挙げます。
- 今年度の実際の最高在籍学年と、Grade 10までの年度別拡張スケジュール(IB DP計画の現在のステータスを含む)
- 学年別の英語・ドイツ語・日本語の週授業時間と、算数・言語の指導言語の分かれ方(わが子がどの経路になるか)
- 言語ゼロ(英語・ドイツ語)の受け入れ基準と、EAL・追加ドイツ語指導の時間数・費用
- 生徒数・国籍構成・日本人比率・クラス人数(公開値がないため)
- 直近数年の転校・進学先の実績(Canadian Academy・Marist・日本の学校・ドイツ系への内訳)と、ZfA・DSDの現在のステータス
- 学費表の適用年度と必須/任意の区分、給食の提供形態、バスの路線・空き
多言語環境での英語の育て方
3言語環境を選ぶ家庭がよく直面するのは、「どの言語も中途半端にならないか」という不安です。DSKIの設計では英語が主指導言語のため、学習の成否を最も左右するのは英語です。
入学前の幼児期であれば英語ゼロからのスタートも制度上受け入れられていますが、Grade が上がってからの編入では、トライアル登校で英語での学習適性が見られるため、事前の英語準備が入学可否に直結します。また将来、Canadian Academy などのIB校へ移る場合も、日本の学校へ戻って帰国生入試を使う場合も、英語力の証明が鍵になります。
ELT は1984年にロンドンで創業した英語スクールです。指導資格(CELTA/DELTA)や修士号を持つネイティブ講師による完全専属担任制で、お子さまの年齢・言語環境・進路設計に合わせたオーダーメイドのレッスンを提供しています。多言語校への編入準備、英語力の維持・強化、進路変更時の英語対策まで、ご家庭の状況に応じてご相談いただけます。
多言語という選択と、移行期という現実
DSKIの価値は「ドイツ人コミュニティの学校」であることではなく、英語を基盤に、ドイツ語と日本語を本気で組み込んだ多言語教育を、関西では他にない形で・比較的抑えた費用で提供していることにあります。
そして2026年は、この学校が「14歳で終わる」という長年の弱点を、Grade 10・IGCSE、さらにIB DPへの拡張で解消しようとする転換点にあたります。検討する家庭に必要なのは、計画と現状を区別した上で、拡張の進捗・言語配分の実態・出口の選択肢を自分の目で確認することです。本記事の質問リストが、その確認の道具になれば幸いです。
多言語環境での英語の設計や、編入・進路変更に向けた英語準備について相談したい方は、ELT の専門カウンセラーがご家庭の状況に合わせてご案内します。





