「英国の名門校が東京にできたらしいけれど、他のインターと何が違うの?」
「小平市って遠くない?都心から通えるの?」
2023年9月に開校したマルバーン・カレッジ東京(Malvern College Tokyo:MCT)には、ハロウ安比やラグビー校とは決定的に異なる特徴があります。それは、「英国式の伝統」と「IB(国際バカロレア)一貫教育」の融合です。
本記事では、ELT代表・田中が実際にキャンパスを訪問し、入試担当者に直接伺った一次情報をもとに、学費・評判・IB(DP認可)・入試対策まで、保護者が知りたい「実像」を解説します。
1. マルバーン・カレッジ東京(MCT)とは?英国名門×IBフルコンティニュアム
MCTは英国の名門マルバーン・カレッジの東京校で、PYP・MYP・DPを擁するIB一貫校です。2026年にDP認可を取得し、4歳〜18歳をIBでつなぐ体制が完成しました。
MCTは、英国ウスターシャーに本校を置く創立160年以上の名門共学校「マルバーン・カレッジ」の東京校として、2023年9月、東京都小平市(旧文化学園大学小平キャンパス)に開校しました。

最大のニュースは、IBディプロマ(DP)の認可取得です。IB公式データベース上の認可日は2026年4月21日、学校のプレスリリースによる公表は2026年5月14日で、これによりPYP・MYP・DPのIBフルコンティニュアムが完成しました。学校発表によれば、開校からわずか3年で在籍400名超・20カ国籍(公式FAQでは「23カ国籍超」とも記載があり、時点差・集計差と見られます)に成長し、教員数も倍増しています(正確な人数は未公表)。2027年までにUpper Sixth(Year 13)まで拡張し、最大950名規模を目指す計画です。2026-27年度時点の最高学年はLower Sixth(Year 12)です。
教育の根底にあるのは、「Malvern Qualities(マルバーン・クオリティ)」と呼ばれる11の資質です。回復力(Resilience)、優しさ(Kindness)、自立心(Independence)などを育む全人教育(Holistic Education)が、日々の学校生活に組み込まれています。
ここで重要なのが、MCTは「英国式校」だが“出口はIB”だという点です。ハロウ安比やラグビー校がIGCSEからA-Levelへ進む英国式カリキュラムを採用するのに対し、MCTはIBを中核に据えています。この違いは学校選びで非常に大きな意味を持ちます。
基本情報
項目 | 内容 |
|---|---|
正式名称 | マルバーン・カレッジ東京 / Malvern College Tokyo |
開校 | 2023年9月 |
所在地 | 東京都小平市上水南町3-2-1(旧文化学園大学小平キャンパス) |
対象 | 4歳〜18歳(Pre-Prep〜Sixth Form。2026-27の最高学年はLower Sixth、2027年に全学年へ) |
カリキュラム | IB一貫(PYP・MYP・DP)※DP認可:IB公式2026年4月21日・学校公表2026年5月14日 |
形態 | デイスクール(通学)/クラス平均20名・最大24名 |
在籍・国籍 | 400名超・20カ国籍/日本パスポート約40%・中国語圏約15%(学校発表・ヒアリング) |
年間授業料 | 約2,692,700〜2,910,000円(2026-27年度) |
2. 【独自取材】ELT代表が見たMCTの実像|PBL・舞台芸術・科学・広大キャンパス
2026年6月にELT代表が訪問。MCTはIBのプロジェクト型学習を軸に、学年を超えた協働制作(LAMDA認定の舞台芸術)、本格的な科学教育、そして都心では得がたい広大なキャンパスが印象的でした。
ネット上の情報だけでは見えない実態を確かめるため、2026年6月19日、ELT代表・田中がキャンパスを訪問して見えてきたMCTの強みは、次の4点です。
第一に、IB一貫のプロジェクトベースドラーニング(PBL)です。PYPは概念中心・教科横断型の探究で、毎日の日本語レッスンや「PYP Exhibition(PYPx)」を通じて学びます。評価もテスト一発ではなく、形成的・総括的・自己・ピア・教師評価を組み合わせた多面的なものです。MYPでは8分野の学習に加え、教科横断学習、Service as Action、そしてYear 11(Hundred)でのプロジェクトに取り組みます。詰め込み型ではなく、知的探究心と、実社会から学ぶ姿勢を重視する設計でした。
第二に、学年を超えた協働制作です。ミュージカルなどの舞台では、脚本(ストーリー)・衣装作成・舞台装飾・演者までを、生徒が学年の枠を超えて担います。MCTはLAMDA認定校であり、舞台芸術がイベント任せではなくカリキュラムと施設の両面で制度化されています。
第三に、本格的な科学教育です。英国本校が化学に強みを持つことを背景に、校内には先進的な理科実験室と専用の準備室が整備され、Biology/Chemistry/Physicsを統合的に学ぶIB型のサイエンスが行われています。訪問時には、大学の著名教授を招いた授業に取り組んでいるとのお話も伺いました。
第四に、広大なキャンパスです。建築家・黒川紀章が設計した校舎をリノベーションした敷地は総面積15,577㎡。フルバスケットコート規模の体育館、Sakura Garden、全天候型の人工芝サッカー場を備え、都心のビル型インターでは得がたい広さがあります。さらに「Malvern Expeditions」として、千葉・白馬・屋久島・広島・北海道・京都・四国など、学年別の宿泊研修も用意されています。

一方で、訪問を通じて率直に感じた「向き不向き」もあります。まず算数などの基礎学力を反復で固めたい、いわゆる詰め込み型の教育を望むご家庭には、MCTは必ずしも合いません。IBのプロジェクト型学習と、知的探究心に基づく学びを大切にしたいご家庭にこそ向く学校だ、というのが率直な印象です(詳しくは第6章で整理します)。
3. マルバーン東京の学費は「実質いくら」?初年度総額と奨学金
MCTの年間授業料は約269万〜291万円。一時金(出願料・登録料・校舎整備費)を加えた初年度総額は約376万〜397万円規模です。学業・音楽・演劇・美術/デザイン・スポーツの奨学金とバサリーもあります。
MCTの学費は、都内のインターナショナルスクールの中でも高価格帯に位置します。まずは2026-27年度の公式の数値を正確に押さえましょう。
学費・諸費用の内訳(2026-27年度・公式)
項目 | 費用 | 備考 |
|---|---|---|
出願料 | ¥22,000 | 返金不可 |
登録料 | ¥300,000 | 返金・譲渡不可 |
校舎整備費(Building Development Fee) | ¥742,000 | 返金不可・2026-27在籍者 |
年間授業料(PYP:Pre-Prep〜Prep6) | ¥2,692,700 | |
年間授業料(MYP:Foundation Year1〜Hundred) | ¥2,800,600 | |
年間授業料(DP:Lower Sixth) | ¥2,910,000 | Upper SixthはTBC |
施設管理費(2年目以降) | ¥277,500/年 |
初年度総額のシミュレーション
「年間授業料」だけでは全体像は見えません。一時金(出願料22,000円+登録料300,000円+校舎整備費742,000円=1,064,000円)に年間授業料を加えると、初年度総額の目安は次のようになります。
- PYP(Pre-Prep〜Prep6):約376万円
- MYP(Foundation Year1〜Hundred):約386万円
- DP(Lower Sixth):約397万円
なお、バス代・ランチ代・制服代・教材費・遠征費は、現行の2026-27公式学費ページには項目として掲載されておらず、最新の確定額は公開情報では確認できません(過去の2025-26 PDFには「Lunch and Bus Fees」やEmergency Kit 17,600円などの記載がありました)。これらは別途必要となるため、検討の際は学校発行の最新Fee Sheetで見積もることをおすすめします。
また、多国籍企業の駐在員家族を対象に、授業料の10〜20%を3年間減免する制度があります。これは単なる福利厚生割引ではなく、学校への継続的な貢献(ゲストスピーカー、メンタリング、共同研究など)を前提としたパートナー型の減免です。
奨学金・バサリー
MCTには奨学金(Scholarship)とバサリー(Bursary)が用意されています。いずれも一部授業料の減免(partial fee remission)で、給付率は公開されていません(要問い合わせ)。
奨学金 | 対象学年 | 評価領域 |
|---|---|---|
Academic Scholarship | Foundation Year 1以上 | 学業的卓越・知的好奇心 |
Music Scholarship | Prep 5以上 | 音楽 |
Drama Scholarship | Foundation Year 1以上 | 演劇 |
Visual Arts・Design Scholarship | Foundation Year 1以上 | 美術・デザイン |
Sports Scholarship | Prep 5以上 | club/national/international レベルの競技者に配慮 |
バサリーは、追加の経済的支援を必要とするご家庭(駐在員家族、東京へ移転する国際家庭、雇用主から教育手当を受けないご家庭など)を対象に、Prep 1以上・全学年で申請できます。資力審査の詳細・給付率・奨学金との併用可否は未確認です。なお、在校生の兄弟姉妹は出願で優先(Priority)されますが、授業料の兄弟割引については確認できていません。
学費と奨学金の見通しは、ご家庭の年間負担に大きく影響します。ELTの個別カウンセリングでは、お子様の状況に合わせて投資対効果を客観的に整理します。
4. 都心から通える?立地・スクールバス・施設
MCTは小平市にあり都心から約40分。港区・新宿・渋谷・目黒・世田谷からスクールバスが運行し、国分寺駅からは低学年向けの無料シャトルもあります。
保護者にとって最大の懸念は「立地」かもしれません。MCTはJR中央線「国分寺駅」からバスで約11分、タクシーで約8分です。公式には「都心(City Centre)から約40分」と案内されていますが、バスの乗車時間を含めると、通学時間は1時間程度を見込んでおくのが現実的です。実際、保護者の見学記には「低学年には長時間の通学がきつそう」という声もあります。
スクールバスは、港区・新宿・渋谷・目黒・世田谷の各エリアから運行されています。加えて、国分寺駅と校舎を結ぶ無料シャトルがあり、公式FAQでは対象が「Pre-Prep〜Prep 3」と案内されています(訪問時のパンフレットには「Prep 5まで」との情報もありましたが、最新情報は学校にご確認ください)。
施設面では、黒川紀章設計の校舎をリノベーションしたキャンパス(総面積15,577㎡)に、体育館(バスケットリング6基、ステージ、グランドピアノを完備)、全天候型の人工芝ピッチ、Sakura Garden、4階の図書館、理科ラボと準備室、STEAM&Design、音楽・演劇・ダンスの専用室などが整います。ダイニングホール「Grub」はハウス単位での食事を通じて、学年を超えた縦割りの交流を生み出します。

5. マルバーン東京の入試内容とプロが教える対策
MCTの入試は通年(ローリング)。Prep4以上はオンラインの認知系アセスメント(CAT4)+英語ライティング+親子面接で、子どものポテンシャルと、学校・家庭のフィットを審査します。
英国式・IB校に「偏差値」という概念はありません。MCTの入試も、学力テスト一発ではなく、子どものポテンシャルと、学校・家庭のフィットを見るアセスメントが重視されます。
選考は、Online Application(過去2学年分の成績表+教員・メンター2名の連絡先を提出)→ Assessment → 親子面接という流れです。出願は通年(ローリング)で、人気のプログラム・学年では早めの出願が強く推奨され、待機リスト(wait list)が生じる可能性もあります。
学年別のアセスメント
- Pre-Prep: 観察セッション+保護者面接
- Prep 1〜3: 児童面接+保護者面接
- Prep 4以上: 外部提供のオンライン認知系アセスメント+英語ライティング課題+児童・保護者面接
「CAT4」という、言語・非言語・数量・空間の推論力を測るタイプのテストであり、独特の出題形式に慣れていないと実力を発揮しにくいため、事前の準備が合否を左右します。対策の詳細はこちらの記事をご覧ください。
CAT4(認知能力テスト)完全対策:英国系インター・ボーディング受験の要
親子面接では、家庭の教育観と学校の理念がどう整合するか(フィット)が重視され、保護者1名以上の同席が必須です。志望動機や子どもの学び方を、英語(必要に応じて日本語の補助あり)で語れるよう準備しましょう。面接の備え方はボーディングスクール入試の面接対策も参考になります。
授業はすべて英語で行われ、習熟度別(proficiency-based grouping)でクラス編成されます。Prep 4〜6やFoundation Year 1以上では、必要に応じてEAL(英語補習)サポートが提供されます(週時間・クラスサイズ・追加費用は未確認。校内にEAL専用室があることは訪問時に確認しました)。なお、2026-27のフェーズ別出願日程は公式に案内されていますが、日付の更新が追いついていない可能性があるため、最新は学校公式でご確認ください。
認知系テストと英語での親子面接に不安はありませんか。ELTの無料カウンセリングで、現在の実力と合格の可能性を診断できます。
6. どんな家庭に向く/向かない?YIS・KIST・ASIJ・RSJとの比較
MCTは「英国ブランド×IB一貫×都心通学」という独自ポジション。実績の厚いIB校(YIS・KIST)、近隣の米国式名門ASIJ、英国系A-LevelのRSJと、それぞれ軸が異なります。
MCTを検討するご家庭は、目的に応じて次の3つの軸で比較すると整理しやすくなります。①他のIB校(YIS・KIST)、②近隣の西東京(ASIJ)、③英国系(RSJ)です。
項目 | マルバーン東京(MCT) | YIS(横浜インター) | KIST | ASIJ | ラグビー校(RSJ) |
|---|---|---|---|---|---|
立地 | 東京・小平(通学) | 横浜・中区(通学) | 東京・江東区(通学) | 東京・調布(西東京・通学) | 千葉・柏の葉 |
カリキュラム | IB一貫(PYP/MYP/DP) | IB一貫(PYP/MYP/DP) | IB一貫(PYP/MYP/DP)+IGCSE | 米国式(AP)※IB校ではない | 英国式(IGCSE/A-Level) |
成熟度・実績 | 新設(2023)・DP実績はこれから | 1924創立・IB実績が厚い | 日本有数のDP実績(2025年DP平均42) | 1902創立・米名門大進学に強い | 新設(2023)・全寮 |
年間授業料目安 | 約269万〜291万円 | 約280万〜300万円(要確認) | 約240万〜280万円(要確認) | 約327万円〜(初年度は一時金で約580万規模) | 通学約450〜550万円ほか |
形態 | デイ(通学) | デイ | デイ | デイ | 通学/週寮/全寮 |
YIS・KIST・ASIJの学費は年度・学年で変動します。最新は各校公式でご確認ください。
【プロの選び方アドバイス】
Kインターナショナルスクール(KIST)の評判と実態:IB成績日本一の裏側と入試
アメリカンスクール・イン・ジャパン(ASIJ)完全ガイド:学費・入試難易度・SSAT合格ライン・進学実績を徹底解説【2026年版】
ラグビースクール・ジャパン(RSJ)を徹底解説【2026年最新版】
注意したいのは、英国ブランド=東京校の品質保証ではないという点です。海外名門校の名を冠する学校は、本校ブランドと現地(東京校)の運用を分けて見る必要があります。
進学実績の見方
MCTは新設のため、東京校卒業生の大学進学実績はこれから蓄積されていく段階です(2026-27の最高学年はLower Sixth)。現時点では、DPコアの運用体制で評価するのが現実的です。具体的には、TOK/EE(4,000語の課題論文)/CASが独立して整備され、Sixth Form Tutor Programmeによる進捗・ウェルビーイング支援、そして大学進学指導(DPコーディネーター兼進路カウンセラーのAndrew Maguire氏)が公表されています。なお、初年度DPの確定開講科目一覧は未公開です(科目グループと例までが公開)。
また、パンフレットや学校紹介に登場する「IB Diploma 100%取得・平均36点(世界平均29.9点)・67%がラッセルグループからオファー」といった数値は、マルバーン本校を含むグループ(Family of Schools)の実績であり、東京校卒業生の実績ではありません。
まとめ:MCTは「英国式×IB一貫」を都心から狙える独自の選択肢
マルバーン・カレッジ東京は、老舗インターとは異なる魅力を持つ学校です。英国ブランド、IB一貫、新しい施設、小規模クラスという要素に加え、2026年のDP認可によって「出口」が整い、ブランドだけでなく実態を確認できる段階に入りました。
ただし、進学実績や卒業生ネットワークはこれから厚みを増していく領域です。だからこそ、ブランドに惹かれるだけでなく、東京校としての実際の運用を見て判断することが重要です。ELTは実際に訪問してその実像を確認したうえで、お子様にMCTが合うかどうかを客観的に診断できます。
「うちの子はIBの探究型学習に向いている?」
「認知系テストや英語での親子面接の対策をプロに任せたい
このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ELTにご相談ください。インター受験に強い専門コンサルタントが、お子様に最適な戦略をご提案します。







