1924年創立で老舗として歴史を持つインターナショナルスクールとして知られる横浜インターナショナルスクール(YIS)。
長年親しまれた山手の丘を離れ、2022年に本牧(Honmoku)の新キャンパスへ移転したことで、その人気は爆発的に高まっています。
「隈研吾デザインの校舎は実際どうなのか?」
「自由すぎて勉強しないという噂は本当?」
「入試は随時受付(Rolling)らしいが、実際は入れない?」
本記事では、新キャンパスの全貌から、IB一貫校としての教育の質、そして公式サイトには書かれていない入試のリアルまで、2026年最新情報に基づいて徹底解剖します。
1. 隈研吾デザイン監修「新キャンパス」の全貌
YISの最大のトピックは、なんといっても本牧の新キャンパスです。
世界的建築家・隈研吾氏がデザイン監修を務めたこの校舎は、単なる「新しい建物」ではなく、YISの教育哲学(Learning Hub)を体現した空間となっています。
「壁のない教室」オープンハブ
新校舎には、従来の学校にあるような「閉ざされた教室と廊下」がほとんどありません。
各フロアには「オープンハブ(Open Hub)」と呼ばれる広大な共有学習スペースがあり、教室とシームレスにつながっています[371]。
生徒たちはここでグループワークをしたり、ソファで自習したりと、自分の学習スタイルに合わせて場所を選びます。これは「学びは教室の中だけで完結しない」というIBの理念を形にしたものです。
校内の広場「The Street」
南北の棟をつなぐ1階のプロムナードは「ザ・ストリート(The Street)」と呼ばれ、カフェ&ベーカリー(The Street Café)やベンチが並ぶ交流の場です。
休み時間には子供たちが遊び、放課後は保護者がコーヒー片手に談笑する。まるで「校内にある公園」のようなこの空間が、YIS特有の温かいコミュニティ(Dragon Spirit)を支えています。
充実の最新設備
旧山手キャンパスでは不足していた施設も、本牧移転で一気に拡充されました。
- 屋内温水プール: 25m×6レーン。床の高さが変わる昇降式で、幼児の水遊びから競泳トレーニングまで対応。
- 講堂(Auditorium): 400名収容。プロ仕様の音響・照明を備え、演劇やコンサートに使用。
- 人工芝グラウンド: ナイター設備完備。サッカー公式戦も可能な広さを確保。
- ドラゴンダイニング: 自校調理の温かいランチを提供するカフェテリア。食育のハブとしても機能。
2. 「自由と責任」YISの教育と評判
YISは「インクルーシブ(包括的)」かつ「リベラル」な校風で知られます。
規律や管理を重視する学校(例えばKISTやサンモール)とは対照的に、生徒の自主性(Agency)を極限まで尊重します。
IB一貫校(PYP/MYP/DP)の実力
YISは幼児から高校まで一貫して国際バカロレア(IB)を導入している、日本でも数少ない「IB Continuum School」です。
- 探究学習: 先生が答えを教えるのではなく、生徒が「問い」を立ててプロジェクトを進めるスタイルが徹底されています。
- 進学実績: 「自由で楽しい」だけでなく、学力もトップレベルです。IBディプロマの合格率は例年98〜100%、平均スコアも35点前後(世界平均約30点)を維持しており、学術的にも非常に優秀です。
芸術と奉仕活動(Service Learning)
YISが特に力を入れているのが「アート」と「社会貢献」です。
美術・音楽・演劇の設備はプロ顔負けで、生徒は創造性を存分に発揮できます。また、カリキュラムに組み込まれた「サービスラーニング(奉仕活動)」では、カンボジアでの学校建設支援や、地域(横浜)の課題解決など、教室外での学びを重視しています。
向いている子・向いていない子
- 向いている: 好奇心旺盛で、自分でやりたいことを見つけられる子。多様なバックグラウンドを持つ友人と積極的に関われる子。
- 向いていない: 手取り足取り指示されないと動けない子。静かな環境で黙々とドリルを解きたいタイプの子。
3. 入試・転入の実態:「随時受付」の罠
YISの入試は、公式サイト上では「Rolling Admissions(随時受付)」とされています。しかし、これを「いつでも入れる」と解釈するのは危険です。
「空き待ち(Waitlist)」が常態化
新キャンパス人気により、多くの学年で定員が埋まっています。
特に入学希望者が多い中学年(Grade 6-8)などは、「出願はできても、席が空くまでウェイティングリストで待機」というケースが多発しています。
優先順位は以下の通り明確です:
- 海外からの駐在員子女(外国籍・帰国生)
- 在校生の兄弟姉妹
- 卒業生・教職員の子女
- 一般応募(国内からの転校など)
日本国内のインターからの転校希望者は「カテゴリー4」になることが多く、実質的な入試倍率は非常に高い(席が回ってこない)のが現実です。
選考内容:英語力と「マッチング」
筆記試験で点数を競う入試ではありません。
- 書類審査: 過去2〜3年の成績表と、現在の学校からの推薦状(Confidential Recommendation)が最重要視されます。
- 英語力: 学年によりますが、中学部以降は授業についていける英語力が必須です。ESL(英語補習)サポートはありますが枠は限定的です。
- 面接・テスト: 必要に応じてMAPテストの結果提出や、エッセイライティング、面接が行われます。ここでは学力以上に「探究心はあるか」「YISのコミュニティに合うか」が見られます。
4. 学費とコスト (Tuition & Fees)
本牧移転に伴い、学費や施設費は改定(値上げ)傾向にあります。
2025-2026年度の目安は以下の通りです。
学費の内訳
- 入学登録料: 1,350,000円(一時金・非返金)
- 施設維持費: 385,000円(年額)
- 年間授業料:
- 幼稚園(K)〜小5: 3,060,000円
- 中1〜高2(G6-11): 3,190,000円
- 高3(G12): 3,285,000円
初年度納入金の目安
小学部に4月入学する場合、初年度にかかる総額は約480万円〜500万円になります。
これは都内の高額インター(ASIJやBritish School)と並ぶ水準ですが、YISの学費にはPC貸与費や多くの校外学習費、IB試験料などが含まれており(オールインクルーシブに近い)、追加徴収が少ないのが特徴です。
5. ライバル校「サンモール」との比較
横浜エリアでYISと比較検討されるのが、同じく名門のサンモール・インターナショナルスクール(Saint Maur)です。
両校は直線距離で2kmほどしか離れていませんが、校風は真逆と言っていいほど異なります。
特徴 | 横浜インター (YIS) | サンモール (Saint Maur) |
場所 | 本牧(広大な新キャンパス) | 山手(歴史的建造物) |
宗教 | 無宗教(世俗的) | カトリック系(礼拝あり) |
校風 | 自由・自主性 | 規律・伝統 |
カリキュラム | IB一貫 | 複合型 |
雰囲気 | 大規模・ダイバーシティ | アットホーム・ファミリ |
「活発で、自分でどんどん動きたい子」はYIS、「落ち着いた環境で、手厚く見てほしい子」はサンモールが合う傾向にあります。
結論:YISは「未来の学び」を体現する学校
横浜インターナショナルスクール(YIS)は、隈研吾デザインの新キャンパスというハードウェアと、長年培われた「自由で探究的な」ソフトウェアが見事に融合した学校です。
学費は安くなく、入試のハードル(特に空き待ち)も高いですが、ここで得られる「世界中の友人と共に、自ら問いを立てて学ぶ経験」は、他では得がたい一生の財産になるでしょう。
興味がある方は、まずは公式サイトから「Open House(学校見学会)」に申し込み、その独特の空気感(Dragon Spirit)を肌で感じてみることをお勧めします。ただし、人気校ゆえ「早めの行動(出願)」が鉄則です。


