イギリスへの駐在や単身留学が決まった際、多くの保護者が最初に直面するのが「学校種類の複雑さ」です。
- 「Public School(パブリックスクール)」は公立だと思っていたら、実は超名門私立だった。
- 「State School(公立校)」は駐在員の子供でも無償で通えるのか?
- 英語に不安がある場合、「International School(インター校)」と現地の私立校、どちらが良い?
英国の教育システムは歴史的背景から独特の用語(Public Schoolなど)を使うため、誤解が生じやすいのが実情です。
本記事では、英国在住の日本人生徒にとって現実的な選択肢となる「伝統的ボーディングスクール」「私立デイスクール」「インターナショナルスクール」の違いを整理し、お子様の性格や進路(日英米の大学)に合わせた最適な選び方を解説します。
1. 英国の学校タイプを正しく理解しよう
まず、イギリスの学校体系における「言葉の罠」を解き明かしましょう。
① Public School(パブリックスクール)
意味: 「最も伝統と格式のある名門私立校」
例: Eton College, Harrow School, Rugby Schoolなど
ここが最大の誤解ポイントです。"Public"という言葉がつきますが、公立(Public)ではなく、かつて「宗教や地域に関係なく誰にでも(Publicに)開かれた」歴史を持つことからこう呼ばれます。現在はザ・ナイン(The Nine)と呼ばれるトップ9校や、それに準ずる名門校を指します。
② Independent School / Private School(私立校)
意味: 「独立した(政府の資金を受けない)私立学校」
広義にはパブリックスクールもここに含まれますが、一般的にはもう少し広い範囲の私立校を指します。英国全土に約2,500校あり、少人数制の手厚い指導が特徴です。
③ State School(公立校)
意味: 「政府が運営する公立学校」
授業料は無償です。駐在員のお子様(適切なビザ保持者)も通学可能ですが、学区(Catchment Area)による住所制限が厳しく、学校ごとの質の差(Ofsted評価)が激しいため、日本人家庭には事前の入念なリサーチが必要です。
④ International School(インターナショナルスクール)
意味: 「英国以外のカリキュラム(IBや米国式)を提供する学校」
ロンドン近郊に多く、生徒の多国籍性が特徴です。英国にいながらIB(国際バカロレア)や米国式カリキュラムで学べるため、駐在期間が短い家庭や、非英語圏からの生徒に人気です。
2. 【比較】日本人の子供に合うのはどれ?
お子様の英語力、滞在期間、将来の志望大学によって「正解」は異なります。
学校タイプ | 伝統的ボーディングスクール(Boarding Schools) | インターナショナルスクール(International Schools) |
主なカリキュラム | GCSE / A-Level | IB (PYP/MYP/DP) / 米国式 |
生徒の構成 | イギリス人生徒が主体。 | 多国籍(駐在員の子弟など)。 |
英語サポート(EAL) | 学校によるが、「英語ができる前提」の授業。 | 非常に手厚い。 |
大学進学 | Oxbridge / 英国内トップ大に圧倒的に強い。医学部志望ならこちら。 | 世界中の大学へ開かれている。IBなら欧米・日本どこでも強い。 |
向いている子 | ・長期滞在/単身留学 ・英国文化にどっぷり浸かりたい ・スポーツや芸術も本格的にやりたい | ・短期駐在(数年で帰国) ・英語力にまだ不安がある ・IBで全教科バランスよく学びたい |
駐在員家庭へのアドバイス
「せっかくイギリスに来たのだから現地の私立(Independent)へ」と考える方は多いですが、Year 10(14歳)以上での編入は注意が必要です。
英国式カリキュラム(GCSE)は2年間のコースなので、途中編入が難しく、その場合はインターナショナルスクール(IB校)の方がカリキュラムの移行がスムーズな場合があります。
3. 入学試験のリアル(UKiset / Common Entrance)
英国の名門校を目指す場合、避けて通れないのが独自の入学試験です。
Common Entrance(コモン・エントランス)
11歳(女子)や13歳(男子)でパブリックスクールに入学するための統一試験です。
英語、数学、理科に加え、歴史や地理、宗教、ラテン語などが課される場合もあり、「現地の子と同じ土俵」で戦う高い英語力が求められます。
UKiset(ユーカイセット)
留学生向けの適性検査です。
英語(リスニング・リーディング)、数学、非言語推論(IQテスト的要素)で構成され、英語力だけでなく「地頭の良さ(Potential)」を測ります。多くのボーディングスクールが留学生の一次選考として採用しています。
4. 寮生活とガーディアン(後見人)制度
単身留学や、親元を離れてボーディング(寄宿)させる場合、法律で「ガーディアン(Guardian)」の指定が義務付けられています。
- ガーディアンの役割:
親に代わって緊急時の対応、ハーフターム(短期休暇)中の宿泊先手配、学校との連絡を行います。
- 選び方の注意:
エージェントに丸投げせず、「緊急時にすぐに学校に駆けつけられる距離に住んでいるか」「日本語での細やかなサポートがあるか」を確認しましょう。
寮生活(House System)は、単なる寝起きする場所ではなく「人間形成の場」です。ハリー・ポッターの世界のように、寮対抗のスポーツ大会や音楽祭を通じて、生涯の友を得ることができます。
5. 結論:英語力不足をどう補うか?
英国の学校選びで最も重要なのは、「子供の現在の英語力」と「入りたい学校が求める英語力」のギャップを正しく把握することです。
- インターナショナルスクール: 英語力が低くてもEAL(補習)でカバーしてくれる。
- 伝統的ボーディングスクール: 入学時点でネイティブに近い英語力がないと、授業についていけず深海魚になるリスクがある。
「英国の名門校に入れたいけれど、英語力が心配」「UKisetのスコアが伸びない」
そんな悩みをお持ちの方は、専門家のサポートを借りるのが近道です。
ELT|英国学校選び・入試対策
ELTは、ロンドンで創業し40年の実績を持つ、国際教育特化型のオンラインスクールです。
- UKiset / Common Entrance対策: 英国難関校の出題傾向を知り尽くしたネイティブ講師が指導。
- 学校選びコンサルティング: お子様の性格と英語力に合わせ、最適な学校(Prep SchoolからSenior Schoolまで)をご提案。
- 入学後のアカデミックサポート: 歴史や地理など、日本人が苦戦する科目の補習。
英国での教育は、お子様の人生を大きく広げるチャンスです。
まずは「現状のレベル」を知ることから始めましょう。








