「子どもをイギリスのイートン校(Eton College)やハロウ校(Harrow School)に入れたい」
そう考えたとき、多くの日本人保護者が直面する最大の壁は「年齢」と「ルート」の誤解です。
13歳からの名門パブリックスクール(Senior School)に入学するためには、実は10歳〜11歳の時点で勝負がほぼ決まっていることをご存知でしょうか?
その鍵を握るのが、英国特有の教育機関「Prep School(プレップスクール)」です。
本記事では、英国エリート教育の登竜門であり、名門校への「ゴールデンチケット」とも呼ばれるプレップスクールの実態と、日本から目指すための戦略を解説します。
1. そもそも「Prep School(プレップスクール)」とは?
まず、日本人が最も誤解しやすい「定義」について明確にします。
米国の「Prep」とは別物
アメリカで「Prep School」というと、大学進学を目指す高校(High School)を指しますが、イギリスのPrep Schoolは「8歳〜13歳」を対象とした独立した私立小学校です。
- Pre-Prep: 3歳〜7歳
- Prep School: 8歳〜13歳(Year 4 〜 Year 8)
- Senior School: 13歳〜18歳(Public School等)
つまり、プレップスクールとは、「13歳で名門シニアスクールに入学するための受験準備(Preparation)をする学校」なのです。
なぜ13歳まで小学校なのか?
英国の公立学校は11歳で中学校に上がりますが、私立の名門ルートでは13歳が中等教育のスタート地点です。この「11歳〜13歳」の2年間、公立に進まずプレップスクールに残ることで、公立組とは次元の違う高度な教育(ラテン語、古典、リーダーシップ)を受け、難関入試「Common Entrance」に備えます。
2. 名門校への「ゴールデンチケット」と呼ばれる理由
トップ・プレップスクールが特別視される最大の理由は、「Feeder School(供給校)」としての圧倒的な実績です。
驚異的な合格率
特定の名門プレップスクールは、毎年卒業生の30〜50%をEtonやHarrowなどのトップ校に送り込みます。
シニアスクール側も「〇〇プレップスクールの生徒なら基礎ができている」と信頼しており、長年の信頼関係(コネクション)が存在します。
「校長の推薦状」の威力
英国の入試では、ペーパーテスト以上に「現在の学校の校長からの推薦状(Head's Reference)」が合否を左右します。
名門プレップの校長は、シニアスクールの校長と太いパイプを持っており、「この子は貴校に合う」という推薦があれば、合格の可能性は飛躍的に高まります。これが「ゴールデンチケット」の正体です。
3. 知っておくべき「名門プレップスクール」御三家と特徴
日本から目指すなら知っておきたい、代表的なボーディング・プレップスクールを紹介します。
学校名 | 特徴 | 主な進学先 (Feeder for) |
Summer Fields (Oxford) | 男子校。アカデミック教育が非常に厳格。 | Eton College (毎年多数の奨学生を輩出) |
Dragon School (Oxford) | 共学・大規模。自由な校風で知られる名門。 | Eton, Harrow, Winchester, Wycombe Abbey など多様 |
Ludgrove School (Berkshire) | 男子校。ウィリアム王子・ヘンリー王子の母校。伝統的な田園の学校。 | Eton, Harrow |
Cothill House (Oxfordshire) | 男子校。アットホームで留学生のケアにも定評あり。 | Eton, Radley, Harrow |
※これらはほんの一例です。お子様の性格(アカデミック重視か、スポーツ重視か)に合わせて選ぶことが最重要です。
4. 勉強だけではない!「英国流エリート」を育てる寮生活
プレップスクールでの生活は、単なる受験勉強ではありません。「ジェントルマン / レディとしての素養(Character Building)」を育む場です。
文武両道のカリキュラム
- 午前: 英語、数学、理科に加え、フランス語、ラテン語、歴史を集中的に学習。
- 午後: 毎日スポーツ(ラグビー、クリケット、ホッケー等)。チームプレーを通じてリーダーシップを叩き込まれます。
- 土曜日: 「Saturday School」として授業や対外試合が行われます。
Pastoral Care(親代わりのケア)
8歳からの寮生活(Boarding)に不安を感じる保護者も多いですが、各寮には「Houseparents(寮長夫婦)」と「Matron(寮母)」が常駐し、家庭のような温かさでサポートします。ここで培われる自立心と社交性こそが、シニアスクールが求める資質です。
5. 入学戦略:いつから準備すべきか?
タイムリミットは「10歳」
Etonなどのトップ校は、11歳時点で事前選考(Pre-test)を行います。
そのための対策をプレップスクールで行うには、遅くともYear 5(9〜10歳)にはプレップスクールに入学しているのが理想です。
入試プロセス (7+ / 8+ / 11+)
- 7+ / 8+ Exam: 最も一般的な入学タイミング。英語・算数のテストに加え、「行動観察(面接や遊び)」で協調性や英語への適応力が見られます。
- 11+ Exam: 遅れて入学するルートですが、倍率は高くなります。
6. 結論:戦略的な早期準備を
「13歳からEtonに行きたい」という目標があるなら、その準備は日本で塾に通うことではありません。「適切な時期に、適切なプレップスクールに入ること」が、最も確実な近道です。
プレップスクール選びは、単なる学校選びではなく、お子様の将来の「環境」と「人脈」を選ぶ投資です。
ELT|プレップスクール留学・受験対策
ELTでは、英国のプレップスクール事情に精通したコンサルタントと、現地校出身のネイティブ講師が、以下のサポートを提供しています。
- スクール選定: お子様の性格と志望シニアスクールに合わせた「勝てるプレップ」の提案。
- 入試対策: 7+/8+ Exam向けの英語・算数指導、およびインタビュー対策。
- 現地視察アレンジ: 校長との面談手配など。
英国エリート教育への第一歩を、ELTがサポートします。








