「イギリスの学校に入るには 11+ (イレブンプラス) を受けなければならない」
ロンドン駐在が決まった方や、娘さんをイギリス留学させたい方が必ず耳にする言葉です。
しかし、この「11+」には、全く異なる2種類の試験が存在することをご存知でしょうか?
- 公立グラマースクール(学費無料・超難関)に入るための11+
- 私立名門校(女子校・ロンドン共学校)に入るための11+
この違いを知らずに対策を始めると、「住んでいる場所のせいで受験すらできない」「対策する科目が全く違った」という事態になりかねません。
本記事では、複雑なイギリスの11歳入学試験の仕組みを解き明かし、目指すべきルート別の合格戦略を解説します。
1. 2つの「11+」の違い:公立グラマー vs 私立校
まずは、両者の決定的な違いを理解しましょう。
項目 | 公立グラマースクール 11+ (State Grammar) | 私立校 11+ (Independent School) |
主な対象校 | Henrietta Barnett, Tiffin Girls', QE Boys | St Paul's Girls', City of London, Francis Holland |
学費 | 無料 | 有料 (年間400〜600万円前後) |
受験資格 | 居住地制限 (Catchment Area) が非常に厳しい | 制限なし (日本からも受験可能) |
試験時期 | Year 6の 9月 (早めに終わる) | Year 6の 1月 (公立の結果が出た後) |
倍率 | 10〜20倍 (「無料の私立」と言われるため激戦) | 3〜10倍 (学校による) |
重要: 公立グラマースクールは「無料」であることが最大の魅力ですが、その分競争率は異常なほど高く、一部の学校では「自宅から学校まで数キロ以内」という厳しい居住要件があります。
2. 試験形式の3大パターン:GL vs CEM vs 独自試験
11+の試験内容は学校によって異なりますが、大きく3つのパターンに分類できます。
A. GL Assessment(伝統的スタイル)
- 採用校: 多くのグラマースクール(Kent, Buckinghamshireなど)。
- 内容: 英語、算数、Verbal Reasoning(言語推理)、Non-Verbal Reasoning(非言語推理)の4科目。
- 特徴: 問題形式が標準的で、過去問による練習(Practice Papers)が効果を発揮しやすい形式です。
B. CEM(語彙力重視)
- 採用校: 一部のグラマースクール(Bexleyなど ※近年GLに戻る傾向あり)。
- 内容: GLと似ていますが、「語彙(Vocabulary)」が非常に重視され、時間制限が厳しいのが特徴です。
- 特徴: 「詰め込み教育防止」を掲げて作られたため、短期対策が難しく、日頃の読書量が問われます。
C. 学校独自試験(School Written)
- 採用校: 私立トップ校(St Paul's, Westminster等)。
- 内容: 非常に高度な記述式試験(English & Maths)に加え、面接やグループワークが行われます。
3. ロンドン私立女子校の最新トレンド:コンソーシアムの変革
ロンドンの私立女子校を目指す場合、「London 11+ Consortium」というグループの存在は無視できません。
Francis HollandやSouth Hampsteadなど、約14校の人気女子校が加盟しており、「1回のテストで複数校に出願できる」システムです。
最新の試験形式:筆記試験の廃止
このコンソーシアムは近年、従来の筆記試験(英語・算数)を廃止し、75分のオンライン認知テスト(Cognitive Ability Test)に完全移行しました。
- Maths / Non-Verbal: 数理的・図形的思考力。
- Verbal: 語彙力と論理力。
- Puzzles & Problem Solving: その場でルールを理解して解くパズル。
- Creative Comprehension: 複数の情報源(文章、地図、グラフ)を統合して答える問題。
対策の鍵: 従来の「過去問を解きまくる」対策だけでは通用しません。「初見の問題に対応する思考力」が問われます。
4. ルート別・合格ロードマップ
目指す学校によって、準備スケジュールが異なります。
Route A: 公立グラマー難関校(例: Henrietta Barnett)
- Year 4: 対策開始。居住地(Catchment Area)の確認と引っ越し検討。
- Year 5: GL/CEM形式の模試を反復。
- Year 6 (9月): 試験本番。
- 10月: 結果発表(※結果を見てから私立出願を決められるメリットあり)。
Route B: 私立トップ校(例: St Paul's Girls')
- Year 5: 基礎固め。記述力(Creative Writing)と難問算数の強化。
- Year 6 (11月): オンライン予備試験(ISEBなど)。
- Year 6 (1月): 本試験(記述式) + 面接。
Route C: 私立コンソーシアム(例: Francis Holland)
- Year 5: 基礎固め。
- Year 6 (11月末): オンライン認知テスト(各校またはテストセンターで受験)。
- Year 6 (1月): 面接(テスト通過者のみ)。
5. 結論:戦略的な併願プランを
公立グラマースクールは「受かればラッキー」という宝くじのような側面があります。
多くのご家庭では、「公立グラマーを第一志望にしつつ、私立校をしっかり滑り止め(Backup)として確保する」という戦略をとります。
11歳という多感な時期の受験です。お子様の性格に合わせ、「詰め込み」ではなく「知的好奇心」を伸ばす対策ができるかが、勝敗を分けます。
ELT|11+ (Eleven Plus) 対策コース
ELTでは、ロンドン女子校出身者や、11+指導経験豊富なネイティブ講師が、志望校別の対策を行います。
- コンソーシアム対策: 最新のオンライン認知テストに対応した思考力トレーニング。
- Verbal Reasoning: 日本人の最大の壁である「語彙・推理」を強化。
- インタビュー対策: 私立校で重視される「自分の意見を表現する力」を養います。








