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英語での商談・タフネゴシエーション完全ガイド:提案・条件交渉・クロージングの実践英語

公開:
2026年最新
英語での商談・タフネゴシエーション完全ガイド:提案・条件交渉・クロージングの実践英語 - ELTスクール 英語学習コラム
田中 達也

執筆者: 田中 達也|ELT日本法人 代表

海外取引先との商談で、「言いたいことが英語で出てこない」「相手に押し切られてしまう」「交渉の主導権を握れない」——こうした悩みを抱えるビジネスパーソンは少なくありません。

英語の商談で成果を出すには、フレーズの暗記だけでは不十分です。「なぜその表現を使うのか」「どのタイミングで切り出すのか」という交渉戦術とセットで身につけてはじめて、商談の実戦力になります。

本記事では、英語での商談を7つのフェーズに分解し、各フェーズの「戦術の意図」と「実践英語フレーズ」をセットで解説します。価格交渉やタフネゴシエーションといった難所を乗り越えるための具体的な戦術と表現を、商談の流れに沿って体系的にお伝えします。

英語の商談で日本人が「負ける」3つの理由

英語の商談で日本人が不利になりがちな原因は、英語力だけの問題ではありません。交渉に対するアプローチそのものに構造的な課題があります。

理由①:「遠慮」が交渉力を削ぐ。日本語のビジネスコミュニケーションでは「恐れ入りますが」「ご検討いただければ幸いです」のような婉曲表現が美徳とされます。しかし、これを英語にそのまま持ち込むと、相手には「自信がない」「本気度が低い」と映ります。英語の交渉では、丁寧さを保ちつつも明確に自分の立場を示すことが信頼を得る第一歩です。

理由②:フレーズは知っているが戦術がない。多くの日本人ビジネスパーソンは、商談フレーズを「What to say(何を言うか)」のレベルでは学んでいます。しかし、「Why(なぜこの場面でこの表現を使うのか)」「When(どのタイミングで切り出すのか)」という戦術的文脈が欠けているため、実際の商談で使いこなせないのです。

理由③:沈黙を恐れる。日本人は会話の間(ま)が空くことを嫌い、沈黙を埋めようとして不用意に譲歩してしまうことがあります。しかし、英語の交渉において沈黙は強力な武器です。相手の提案に対してすぐに反応せず、数秒間の沈黙を置くだけで、「この条件では不十分だ」というメッセージを言葉なしに伝えることができます。

本記事では、この3つの課題を克服するために、商談の各フェーズに「戦術の意図 + 英語フレーズ」をセットで解説していきます。

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商談の7フェーズと各フェーズの英語戦術

英語での商談は、以下の7つのフェーズで構成されます。各フェーズには固有の「戦術的目標」があり、それを達成するための英語表現が存在します。フレーズを丸暗記するのではなく、「このフェーズで何を達成したいのか」を意識しながら読み進めてください。

Phase 1:アイスブレイク——信頼の土台を30秒で築く

商談の成否は、本題に入る前の30秒で大きく左右されます。アイスブレイクの目的は、心理的安全性を構築し、相手と「対立する敵同士」ではなく「共に価値を創る協力者」という関係性の土台をつくることです。

効果的なアイスブレイクには3つのアプローチがあります。第一に、相手への感謝と敬意を示すこと。第二に、共通点を見つけること。第三に、相手の会社や市場への関心を示すことです。

  • "Thank you for making the time to meet with us today. I know how busy things must be with [recent industry event/product launch]." (本日はお時間をいただきありがとうございます。[最近の業界動向/製品発表]でお忙しいかと存じます)——相手の状況への関心を示す
  • "I actually visited [their city/country] last year. The [specific positive comment] really impressed me." (実は昨年[相手の都市/国]を訪れました。[具体的な好印象]がとても印象的でした)——個人的なつながりを築く
  • "Before we dive into the details, I'd love to hear how things are going on your end." (詳細に入る前に、まず御社の状況をお聞かせいただけますか)——相手に話す機会を先に与え、情報収集する

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Phase 2:アジェンダ設定——主導権はここで決まる

交渉の主導権は、最初にアジェンダを提案した側が握ります。これは「フレーミング効果」と呼ばれる交渉原理で、議論の枠組み(何を、どの順番で話すか)を設定した側が、交渉全体の方向性をコントロールできるのです。

日本人ビジネスパーソンは「相手の意向を先に聞く」傾向がありますが、英語の商談ではアジェンダを自分から提案することが「準備ができている」「プロフェッショナルである」というポジティブな印象を与えます。

  • "I'd like to suggest we cover three main areas today: first, [topic A]; then [topic B]; and finally [topic C]. Does that work for you?" (本日は3つのポイントをカバーしたいと思います。まず[A]、次に[B]、最後に[C]です。よろしいでしょうか?)——アジェンダの主導権を取りつつ、相手にも同意を求める
  • "To make the most of our time, shall we start with the areas where we're most likely to find common ground?" (時間を有効に使うために、合意しやすいポイントから始めませんか?)——合意の「モメンタム」を先に築く戦術
  • "I've prepared a brief overview of our proposal. May I walk you through it before we open up for discussion?" (提案の概要を準備してきました。ディスカッションに入る前にご説明してもよろしいでしょうか?)——自社の提案を先に提示し、議論の基準点を設定する

Phase 3:提案(Proposal)——自社の価値を最大化する伝え方

提案フェーズの戦術的ポイントは2つあります。第一に、製品やサービスの「特徴(Features)」ではなく「相手にとってのベネフィット(Benefits)」で語ること。第二に、アンカリング効果を活用すること——最初に提示する条件が交渉全体の基準点(アンカー)となるため、自信を持って高めの条件から提示することが重要です。

  • "Based on our analysis of your requirements, we'd like to propose a solution that addresses [specific pain point]. Here's what we have in mind." (御社のニーズを分析した結果、[具体的課題]に対応するソリューションをご提案します)——相手のニーズを起点にした提案
  • "What sets our offering apart is [unique value proposition]. For companies in your position, this typically results in [quantified benefit]." (当社の提案のユニークな点は[差別化要素]です。御社のような企業にとって、通常[定量的なベネフィット]をもたらします)——競合との差別化を明確に伝える
  • "Our standard pricing for this scope of work is [amount]. This includes [key deliverables], which we believe represents strong value given the outcomes you're looking for." (この業務範囲の標準価格は[金額]です。[主要な成果物]が含まれており、御社が求める成果に対して高い価値だと考えています)——自信を持った価格提示(アンカリング)

Phase 4:条件交渉(Bargaining)——価格・納期・数量の攻防

条件交渉は商談の最も難しい局面です。ここで重要な戦術は3つあります。

戦術①:条件付き譲歩(Conditional Concession)。無条件に譲歩するのではなく、「If you..., then we could...」の構文で、自分の譲歩と引き換えに相手からも何かを得ることを常にセットにします。

  • "If you could commit to a two-year contract, we'd be able to offer a 10% discount on the annual fee." (2年契約をお約束いただけるなら、年間料金の10%割引をご提供できます)
  • "We could consider adjusting the delivery schedule, provided that the order volume meets [minimum threshold]." (発注量が[最低基準]を満たしていただけるなら、納期の調整を検討できます)

戦術②:パッケージ提案。単一の論点(例:価格だけ)で膠着した場合、複数の条件をバンドルして提案することで膠着を打開します。

  • "Rather than focusing solely on the unit price, let me suggest a package that includes [extended warranty/training/priority support]. I believe this gives you better overall value." (単価だけでなく、[延長保証/トレーニング/優先サポート]を含むパッケージをご提案させてください。総合的により高い価値をご提供できると考えています)

戦術③:BATNA(Best Alternative)の示唆。自分に代替選択肢があることをほのめかすことで、交渉力を維持します。ただし、脅しではなく事実として言及する姿勢が重要です。

  • "We do have other interested parties, but we'd prefer to work with you given the potential of this partnership." (他にも関心を示している企業はありますが、このパートナーシップの可能性を考えると御社と組みたいと考えています)
  • "Our capacity is limited for this quarter, so we need to finalize the terms soon to secure your allocation." (今四半期のキャパシティには限りがあるため、御社の枠を確保するには早めに条件を確定させる必要があります)

Phase 5:タフネゴシエーション——デッドロックを打開する英語

相手が強気に出てきた場合や交渉が膠着した場合、冷静さを保ちながら毅然と対応するスキルが問われます。ここでは3つの打開パターンを紹介します。

パターンA:戦略的沈黙(Strategic Silence)。相手が受け入れがたい条件を提示してきたら、即座に反応せず3〜5秒の沈黙を置きます。これだけで「その条件は受け入れられない」というシグナルを送ることができ、相手が先に条件を修正してくるケースも少なくありません。沈黙の後に続けるフレーズとして以下が有効です。

  • "That's an interesting proposal. Let me take a moment to consider how that would work on our end." (興味深いご提案ですね。当社側でどう機能するか少し考えさせてください)

パターンB:リフレーミング。膠着した論点を別の角度から捉え直すことで、議論を前に進めます。

  • "I think we're looking at this from different angles. Instead of focusing on the price per unit, could we explore the total cost of ownership over three years?" (異なる角度から見ているようですね。単価ではなく、3年間のトータルコストで考えてみませんか?)
  • "Let's step back and look at the bigger picture. What's the most important outcome for both of us here?" (少し引いて全体像を見てみましょう。お互いにとって最も重要な成果は何でしょうか?)

パターンC:休憩提案。感情的になりそうな場面や、社内で確認が必要な場面では、休憩を提案して仕切り直します。

  • "I appreciate the candid discussion. I think it would be helpful if we took a short break to review the numbers on our side." (率直な議論をありがとうございます。数字を確認するために少し休憩を取らせていただけると助かります)

そして、相手の要求を断る場合でも、関係性を壊さない表現を使うことが重要です。

  • "I understand your position, and I respect where you're coming from. However, I'm not in a position to agree to that at this stage." (御社の立場は理解しており、そのお考えも尊重いたします。しかし、現段階ではそれに同意することは難しい状況です)
  • "We've already made significant concessions to reach this point. I'm afraid this is the best we can offer under the current terms." (ここに至るまでに大幅な譲歩をしてきました。残念ながら、現在の条件ではこれが当社として提示できる最善です)

Phase 6:合意形成(Agreement)——口頭合意を「確定」させる英語

合意に達したら、その場で合意内容を英語で要約し、双方の認識を確認することが不可欠です。口頭合意の曖昧さが後のトラブルの原因になることは珍しくありません。

  • "Excellent. Just to make sure we're on the same page, let me summarize what we've agreed on today." (素晴らしいですね。認識を合わせるために、本日合意した内容を要約させてください)
  • "So to confirm: we've agreed on [price], with delivery by [date], and payment terms of [conditions]. Is that correct?" (確認ですが、[価格]で合意、納期は[日付]まで、支払条件は[条件]ということでよろしいでしょうか?)
  • "I'll send over a written summary of today's discussion within 24 hours for your review." (本日のディスカッションの書面サマリーを24時間以内にお送りします)

合意内容に曖昧さを残さないためのポイントは、数値・日付・条件を具体的に口頭で確認することです。"roughly"(おおよそ)や"around"(約)といった曖昧な表現は避け、exact figures(正確な数字)で確認しましょう。

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Phase 7:クロージング&フォローアップ——次につなげる終わり方

商談の最後の印象は、次回の商談の出発点になります。相手に敬意を示し、今後の関係構築への期待を伝えることが重要です。

  • "Thank you for a very productive discussion today. I'm confident we can build a strong partnership going forward." (本日は非常に生産的な議論をありがとうございました。今後、強力なパートナーシップを築けると確信しています)
  • "I'll follow up with a detailed email summarizing our key agreements and proposed next steps." (主要な合意事項と次のステップの提案をまとめた詳細なメールをお送りします)

フォローアップメールは商談後24時間以内に送ることが鉄則です。メールには、合意事項のサマリー、未解決事項のリスト、次回の会議日程の提案を含めます。このメールが事実上のMinutes(議事録)として機能し、後の契約交渉の基礎資料になります。

【シーン別】タフな場面を乗り切る英語フレーズ集

ここまでの7フェーズに加え、商談で頻繁に遭遇する「タフな場面」への対応フレーズをまとめます。

値下げ要求への対応。相手から値下げを求められた場合、即座に応じるのではなく、まず自社の価格の根拠を説明し、条件付きの柔軟性を示します。

  • "I appreciate you raising the pricing concern. Let me walk you through what's included in this price and the value it delivers. If we need to discuss adjustments, I'd like to explore what we can do together."

競合を引き合いに出された場合。相手が「他社はもっと安い」と言ってきた場合、パニックにならず、差別化要因に焦点を戻します。

  • "I understand you're evaluating multiple options — that's smart business. What I'd encourage you to consider is the total value, including [after-sales support / quality consistency / delivery reliability], which is where we consistently outperform."

最終条件の提示(Final Offer)。これ以上の譲歩が難しい場合、毅然と最終条件を提示します。ただし、「脅し」ではなく「事実」として伝えることが重要です。

  • "This is our best and final offer. We've made significant concessions to get here, and I believe this represents a fair deal for both sides."

合意に至らない場合の円満な撤退。すべての商談が合意に至るとは限りません。しかし、関係性を壊さずに撤退することで、将来の再交渉の余地を残せます。

  • "It seems we're not quite aligned at this point, and I don't want to force something that doesn't work for either of us. Let's keep the door open and revisit this when the timing is right."

交渉力を高める実践トレーニング法

フレーズを覚えるだけでは、実際の商談で使いこなすことはできません。「知っている」を「できる」に変えるための実践トレーニング法を紹介します。

ロールプレイ:ネイティブ講師との模擬商談

最も効果的なトレーニングは、実際の取引条件や商材を題材にしたロールプレイです。ネイティブ講師が取引先役を演じ、あなたが売り手(または買い手)として英語で交渉を行います。

講師が意図的にタフな条件を提示したり、反論を投げかけたりすることで、Phase 4(条件交渉)やPhase 5(タフネゴシエーション)での即興対応力が鍛えられます。週1回のロールプレイを3ヶ月続けると、実際の商談での反応速度と表現の幅が大きく向上します。

ケーススタディ:過去の商談を英語で再構成する

過去に日本語で行った商談を題材に、「もしこの商談を英語でやるとしたら、各フェーズでどのフレーズを使うか」を考える練習です。自分の業界・商材に合わせたカスタマイズができるため、汎用フレーズ集よりもはるかに実践的です。

ニュースからの表現収集

BloombergFinancial Timesの交渉・M&A関連記事には、ビジネス交渉で実際に使われる表現が豊富に含まれています。記事中の交渉関連の表現をメモし、自分の業務に置き換えて使う練習をすると、表現の幅が自然に広がります。

まとめ:フレーズの先にある「交渉の設計力」を身につける

英語での商談は、フレーズを知っているだけでは勝てません。「どのフェーズで、どんな戦術的意図を持って、どの表現を使うか」——この三位一体の設計力が、交渉の成果を決定づけます。

本記事で紹介した7つのフェーズと各フェーズの戦術・フレーズを、自分の業務に合わせてカスタマイズし、ロールプレイで繰り返し練習してください。「知っている」を「できる」に変えるのは、実践の反復だけです。

よくある質問

A

まず覚えるべきは3つの場面のフレーズです。(1) アジェンダ設定:"I'd like to suggest we cover [topics] today."(商談の主導権を取る)、(2) 条件付き譲歩:"If you could [condition], we'd be able to [concession]."(交渉の攻防で最も頻出するパターン)、(3) 合意確認:"Just to make sure we're on the same page..."(口頭合意を確定させる)。この3つを軸に、自分の業務に合わせたバリエーションを広げていくのが効率的です。

A

3つのコツがあります。第一に、最初の価格提示は自信を持って行い、安易に値下げしないこと(アンカリング効果の活用)。第二に、値下げに応じる場合は必ず条件をつけること(Conditional Concession)。第三に、価格だけの議論に陥ったら、品質・納期・サポートなどの付加価値を含めたパッケージで議論を再構成すること(リフレーミング)。「いくら下げられるか」ではなく「どうすればお互いにとって最善か」という枠組みに持ち込むことが重要です。

A

最大の違いは「直接性」です。日本語の商談では婉曲表現や空気を読む文化がありますが、英語の商談では明確に立場を表明することが期待されます。ただし「直接的=失礼」ではありません。"I understand your position, but..."のように、相手を認めたうえで自分の立場を示す形が英語の交渉における礼儀です。もう一つの違いは、沈黙に対する態度です。日本人は沈黙を避けがちですが、英語の交渉では沈黙が「この条件には満足していない」という強いメッセージになりえます。

A

TOEIC 700〜800点程度あれば基本的な商談は可能ですが、スコアよりも「交渉場面での実践力」のほうが重要です。TOEIC 900点でも交渉で適切なフレーズが出てこない人はいますし、700点台でも海外商談を堂々とこなす人もいます。重要なのは、自分の業務で頻出する交渉場面のフレーズと戦術を「使える」レベルまで練習しているかどうかです。

A

オンラインでは対面以上に「明確さ」が求められます。音声の遅延やマイクの品質の問題があるため、ゆっくり明瞭に話す、要点をスライドやチャットでも共有する、合意事項をその場で画面共有しながら確認する——といった工夫が効果的です。また、相手のリアクションが読みにくいため、"Does that make sense?"や"How does that sound on your end?"のように、こまめに相手の反応を確認するフレーズを意識的に挟みましょう。

執筆者について

田中 達也

田中 達也

ELT日本法人 代表

早稲田大学創造理工学部総合機械工学科を卒業後、同大学大学院に進学し、数値流体解析の研究に取り組む。大学院在学中、アメリカ・ヒューストンにあるライス大学で招聘研究員として宇宙船の流体シミュレーションに従事する。日本に帰国後は研究を継続する傍ら、ハーバード大学やインペリアル・カレッジ・ロンドンでキャリアフェアの開催を手掛ける。2019年には在学中にセキジン合同会社 (現 株式会社 ELT Education) を設立。2020年、英国法人 ELT School of English Ltd. と提携し、日本市場向けのオンライン英会話事業を開始。創業以来、1,000名以上の英語学習者のカウンセリングを行う。

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