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英語の電話会議・カンファレンスコールで失敗しない進行術と多国籍チームのファシリテーション

更新:
公開:
2026年最新
英語の電話会議・カンファレンスコールで失敗しない進行術と多国籍チームのファシリテーション - ELTスクール 英語学習コラム
田中 達也

執筆者: 田中 達也|ELT日本法人 代表

David Falvey

監修者: David Falvey|ELT School of English Ltd. Chief Quality Officer

英語の電話会議(カンファレンスコール)は、ビデオ会議とは根本的に異なるスキルを求められます。表情もチャットも画面共有も使えない音声だけの環境では、「言語化して確認する」力がすべてです。さらに多国籍チームではインド英語やシンガポール英語など多様なアクセントが飛び交い、リスニングの難易度が跳ね上がります。

この記事では、ELTが1万人以上のビジネスパーソンを指導する中で蓄積した知見をもとに、電話会議ならではの3つの課題と、それぞれの具体的な突破法を解説します。

電話会議はビデオ会議とは「別競技」

ビデオ会議(Zoom/Teams/Meet)では、表情・ジェスチャー・チャット・画面共有・リアクションボタンなど、音声以外の情報チャネルで補うことができます。相手が頷いていれば「理解している」とわかるし、困った顔をしていれば「もう少し説明が必要だ」と察せます。

しかし電話会議では、音声だけが唯一の情報源です。

時差の関係で相手が早朝や深夜のため「ビデオOFF」が暗黙のルール、あるいは回線品質の問題で映像が使えないケースも少なくありません。海外拠点との週次ミーティングは、実質的に電話会議になることが多いのが実態です。

電話会議で求められるのは、「見えないものを言語化する力」です。

ビデオ会議なら頷きで伝わる同意も、電話では "I agree with that point" と声に出す必要があります。画面共有で「ここ」と指せる箇所も、電話では "On page 3, the second bullet point under 'Timeline'" と言語化しなければ伝わりません。

ELTが指導してきた中でも、ビデオ会議は問題なくこなせるのに電話会議になると途端にパフォーマンスが落ちるケースは非常に多く見られます。英語力の問題ではなく、音声のみという環境への対応スキルの問題です。

ここからは、電話会議で特に深刻な3つの課題と、それぞれの具体的な突破法を解説します。

課題① 多国籍チームのアクセントが聞き取れない

なぜ電話会議のリスニングは特別に難しいのか

電話会議のリスニングがビデオ会議よりも難しい理由は3つあります。

  1. 口の動きが読めないこと。
    人間は無意識に相手の口の動きを読んで(リップリーディング)、音声情報を補完しています。電話会議ではこの補助情報がゼロになるため、聞き取りの精度が下がります。
  2. 回線品質の劣化
    電話回線やVoIPでは高周波の子音(s, t, th等)が欠落しやすく、特にインドやアジア圏との通話では音質が不安定になりがちです。
  3. 話者の識別が困難なこと。
    5〜6人の電話会議で複数の人が次々に話すと、誰が何を言っているか追えなくなります。ビデオ会議なら話している人の画面がハイライトされますが、電話にはそれがありません。

アクセントの壁を越える3つのテクニック

「アクセントに慣れましょう」というアドバイスは正しいですが、来週の電話会議には間に合いません。ここでは、今すぐ使える実務テクニックを紹介します。

テクニック①: 聞き返しフレーズを3パターン用意しておく

聞き取れなかったとき、同じフレーズを繰り返すと気まずくなります。3パターンを使い分けることで、自然に確認できます。

  • 直接聞き返す: "Sorry, I didn't catch that. Could you repeat the last point?"(すみません、聞き取れませんでした。最後のポイントをもう一度お願いできますか?)
  • 確認の形で言い換える: "Just to make sure I understood correctly — you're saying that...?"(正しく理解しているか確認ですが、おっしゃっているのは…ということですか?)
  • 要約を依頼する: "Could you summarize the key takeaway from that point?"(そのポイントの要点をまとめていただけますか?)

2つ目の「確認の形で言い換える」フレーズは特に有用です。「聞き取れなかった」と直接言わずに、自分の理解を提示して相手に正否を確認してもらう形なので、何度使っても角が立ちません。

テクニック②: 議題ごとに要約を挟む(ファシリテーター向け)

ファシリテーターの立場であれば、議題の区切りごとに要約を入れることで、聞き取れなかった参加者にもキャッチアップの機会を作れます。

  • "Let me summarize what we've agreed so far: first, ... second, ... Does anyone want to add or correct anything?"(ここまでの合意を整理します。まず…次に… 追加や修正はありますか?)

この要約は、自分自身の理解の確認にもなります。「全員が同じ理解でいるか」を音声だけで確認するための最も確実な方法です。

テクニック③: 事前のアジェンダ共有を徹底する

電話会議の最大の味方は「事前準備」です。議題の内容を事前にメールで共有しておけば、聞き取れない単語があっても文脈で推測できます。

  • "I've shared the agenda by email. Let's start with item 1: the Q3 budget revision."(アジェンダをメールで共有しています。議題1のQ3予算修正から始めましょう)

アジェンダに専門用語や固有名詞が含まれる場合は、それもメールに明記しておくと、参加者全員のリスニング負荷を下げられます。

課題② 音声だけで発言のタイミングを掴む

電話会議で発言を逃す3つのパターン

電話会議で「空気になってしまう」問題は、英語力の高い方にも起こります。原因を分解すると、以下の3パターンです。

  1. 議論のスピードについていけず、内容を理解している間に話題が先に進む
  2. 「ここで発言したい」と思った瞬間に、別の参加者が話し始めて割り込めない
  3. 相手の話が終わったかどうかが音声だけでは判断できず、かぶって気まずくなるのが怖い

ビデオ会議なら「手を挙げる」ボタンやチャットで意思表示できますが、電話にはそれがありません。声を出すこと自体が、唯一の「挙手」です。

電話会議で発言するための3つのテクニック

テクニック①: 「名前を名乗ってから話す」

電話会議では、声だけで話者を識別する必要があります。発言の冒頭に自分の名前を入れることで、「誰が話しているか」を明確にし、同時に「今から自分が話す」という宣言にもなります。

  • "This is Hayashi. I'd like to add a point on the timeline."(林です。スケジュールについて一点補足させてください)
  • "Otada here. Can I jump in on that?"(大田です。そこに補足してもいいですか?)

ファシリテーターの立場であれば、指名することで沈黙を防げます。

  • "Before we move on, let me check — Hayashi-san, any thoughts from the product side?"(次に進む前に確認です。林さん、プロダクト側から何かありますか?)

テクニック②: 「議題の切り替わり」を発言の窓にする

電話会議で最も発言しやすいタイミングは、ファシリテーターが以下のような合図を出した瞬間です。

  • "Any questions on this topic?"(この議題について質問はありますか?)
  • "Shall we move to the next item?"(次の議題に移りましょうか?)
  • "Does anyone have anything to add?"(追加で何かありますか?)

この2〜3秒の窓を逃さないことが、電話会議での発言力の鍵です。 以下のフレーズを「反射的に出る」レベルまで練習しておくと、窓を逃しにくくなります。

  • "Before we move on, I'd like to raise one point about..."(次に進む前に、一点…について提起したいのですが)
  • "Actually, I have a question on that."(実は、それについて質問があります)

テクニック③: 「割り込み」ではなく「接続」のフレーズを使う

電話会議では相手の話が終わったかどうかが分かりにくいため、「割り込み」は相手の発言を遮るリスクがあります。前の発言に「繋げる」形で入ると、自然に発言できます。

  • "Building on what [Name] just said..."([名前]さんの発言に補足すると…)
  • "That connects to a point I wanted to raise..."(それは私が提起したかったポイントに繋がるのですが…)
  • "If I may add to that..."(そこに一点付け加えさせてください…)

これらのフレーズは、相手の発言を尊重しながら自分の発言に移行するブリッジとして機能します。

課題③ ファシリテーターとして音声だけで場を回す

電話会議のファシリテーションは、ビデオ会議のそれとは別のスキルセットが求められます。最大の違いは、参加者の反応が一切見えないことです。頷きも、困った表情も、チャットの「👍」もありません。

ファシリテーションの進行フレーズ集

① 開始: ロールコール + アジェンダ確認

電話会議では「誰が参加しているか」が見えないため、最初に出欠を確認します。

  • "Let's do a quick roll call. Who's on the line?"(簡単に出欠確認をしましょう。参加されている方は?)
  • "Good morning everyone. I know it's late in Singapore — thanks for joining."(おはようございます。シンガポールは夜遅いと思います、参加ありがとうございます)
  • "We have 30 minutes today. I'd like to cover three items. The agenda was shared by email."(今日は30分です。3つの議題を扱います。アジェンダはメールで共有済みです)

冒頭でタイムゾーンへの配慮を一言入れるだけで、多国籍チームの信頼関係は大きく変わります。

② 参加者の理解を声で確認する

ビデオ会議なら頷きで判断できる「理解しているかどうか」を、電話では声で確認する必要があります。

  • "Can I get a verbal confirmation from everyone? Are we aligned on this?"(口頭で確認させてください。この方向で合意していますか?)
  • "I'm going to pause here. Any questions or concerns before we move on?"(ここで一旦止めます。次に進む前に質問や懸念はありますか?)
  • "[Name]-san, I'd like to hear your perspective on this."([名前]さん、この点についてご意見を聞かせてください)

電話会議での沈黙は、「同意」ではなく「聞いていない」可能性があることを常に意識してください。 沈黙が3秒以上続いたら、名指しで確認を入れるのが安全です。

③ 議論が散らばったとき——整理するフレーズ

複数の参加者が異なる論点を話し始めると、電話会議では一気に混乱します。ファシリテーターとして議論を整理するフレーズを用意しておくことが重要です。

  • "Let me summarize what I'm hearing. There are two key points: first, ... second, ..."(聞こえている内容を整理します。ポイントは2つです。まず…次に…)
  • "I want to make sure we're all on the same page."(全員が同じ認識でいるか確認させてください)
  • "It sounds like we have different views on this. Let's take them one at a time."(この件については意見が分かれているようです。一つずつ見ていきましょう)
  • "We're getting into the details. Can we take a step back and agree on the overall direction first?"(詳細に入りすぎています。まず全体の方向性を合意しませんか?)

④ 時間管理

電話会議は時間を超過しやすい傾向があります。ビデオ会議なら画面の時計を見て「もう時間だ」と察する参加者もいますが、電話では時間感覚がずれやすいためです。

  • "We're running short on time. Let's table this for the next call and focus on the action items."(時間が押しています。この議題は次回に回し、アクションアイテムの確認に移りましょう)
  • "I want to make sure we cover the last item. Can we keep this discussion to 5 more minutes?"(最後の議題を確実にカバーしたいので、この議論はあと5分に収められますか?)

⑤ 終了: アクションアイテムの確認 + 時差への配慮

電話会議の終了時に最も重要なのは、「誰が、何を、いつまでにやるか」を声に出して確認することです。ビデオ会議ならチャットに残せますが、電話では声で確認しない限り記録が残りません。

  • "Before we wrap up, let me confirm the action items."(終了前にアクションアイテムを確認させてください)
  • "[Name] will finalize the proposal by Friday. [Name] will follow up with the Singapore team on the data."([名前]が金曜までに提案書を仕上げます。[名前]がシンガポールチームにデータのフォローアップをします)
  • "I'll send the meeting notes by end of day."(会議メモは今日中にお送りします)
  • "Thank you everyone. I know it's early morning in Singapore — appreciate you joining."(皆さんありがとうございます。シンガポールは早朝ですね、参加いただき感謝します)

電話会議の「前」と「後」で差がつく実務テクニック

フレーズを覚えるだけでなく、会議の前後の準備と後処理を丁寧に行うことで、電話会議の質は劇的に変わります。

会議前の準備

  1. アジェンダを事前にメールで共有する。
    リスニングの補助になるだけでなく、参加者が事前に意見を整理する時間を確保できる
  2. 参加者リストとタイムゾーンを確認する。
    「誰が参加しているか」を把握しておくことで、ロールコールや指名がスムーズになる
  3. 自分が発言する内容を2〜3文で事前にメモしておく。
    即興で英語を組み立てるより、事前にメモしたフレーズを読み上げる方が確実。特に重要な発言は、英文をメモしておくことを恥ずかしいと思う必要はない

会議後のフォローアップ

  • 会議メモ(Meeting Notes)を送る。
    電話会議は録音されないことも多く、会議メモが唯一の公式記録になる。"As discussed, the key decisions were: 1) ... 2) ... Action items: ..." の形式で簡潔にまとめる
  • 聞き取れなかった部分は会議直後に個別確認する。
    会議中に何度も聞き返すのが気まずい場合、会議直後に "Just wanted to double-check one point from today's call — when you mentioned [topic], did you mean...?" とメールやチャットで確認するのは、むしろ丁寧な対応と受け取られる

電話会議のスキル、実務で通用するレベルですか?

この記事で紹介したフレーズやテクニックは、今日から一人でも練習を始められます。

ただし、電話会議のファシリテーション力や即応力は、実際に「音声だけの環境で対話する」体験を積まなければ鍛えられません。 フレーズを暗記しても、複数の参加者が同時に話す中で「窓」を見つけて発言する実践力、アクセントの異なる相手の英語を聞き取りながら即座に返す力は、一人では訓練できない領域です。

ELTでは、ビジネス英語中級者以上の方に向けて、英語教育の専門資格を持つネイティブ講師がマンツーマンで指導する無料カウンセリング・体験レッスンを実施しています。

  • 電話会議のスキル診断: 音声のみの環境でのリスニング力、即応力、ファシリテーション力をプロが評価
  • 模擬電話会議の体験: 業界のリアルなシーンを想定し、講師が海外拠点メンバーや取引先の役を演じるロールプレイ
  • 改善ポイントのフィードバック: 「発言のタイミング」「要約の入れ方」「アクセント対応」など具体的な改善点を特定

よくある質問

A

"Sorry, I didn't catch that. Could you repeat the last point?" が最もフォーマルかつ自然です。繰り返し聞き返す場合は "Just to make sure I understood correctly — you're saying that...?" と確認の形で言い換えると、「聞き取れなかった」と直接伝えずに内容を確認できます。

A

3つのテクニックが有効です。発言の冒頭に名前を名乗ること("This is [Name].")、ファシリテーターが "Any questions?" と聞いた瞬間の2〜3秒の窓を逃さないこと、前の発言に繋げる形で入ること("Building on what [Name] said...")です。電話会議では声を出すこと自体が唯一の「挙手」です。

A

音声だけが唯一の情報源であることです。ビデオ会議なら表情・チャット・画面共有・リアクションで補えますが、電話会議ではすべてを「言語化」する必要があります。同意も、疑問も、資料の参照箇所も、声に出さなければ伝わりません。

A

「参加者の反応を声で確認すること」です。ビデオ会議なら頷きで確認できますが、電話では "Can I get a verbal confirmation?" や "[Name], what are your thoughts?" と積極的に確認する必要があります。電話会議での沈黙は「同意」ではなく「聞いていない」可能性があることを常に意識してください。

A

問題ありません。会議直後に "Just wanted to double-check one point from today's call — when you mentioned [topic], did you mean...?" とメールやチャットで確認するのは、むしろ丁寧で正確な仕事ぶりと受け取られます。曖昧なまま放置するよりも、確認する方がプロフェッショナルです。

執筆者について

田中 達也

田中 達也

ELT日本法人 代表

早稲田大学創造理工学部総合機械工学科を卒業後、同大学大学院に進学し、数値流体解析の研究に取り組む。大学院在学中、アメリカ・ヒューストンにあるライス大学で招聘研究員として宇宙船の流体シミュレーションに従事する。日本に帰国後は研究を継続する傍ら、ハーバード大学やインペリアル・カレッジ・ロンドンでキャリアフェアの開催を手掛ける。2019年には在学中にセキジン合同会社 (現 株式会社 ELT Education) を設立。2020年、英国法人 ELT School of English Ltd. と提携し、日本市場向けのオンライン英会話事業を開始。創業以来、1,000名以上の英語学習者のカウンセリングを行う。

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監修者について

David Falvey

David Falvey

ELT School of English Ltd. Chief Quality Officer

オックスフォード大学にて政治学、哲学、経済学を学んだのち、ブライトン大学の修士課程で英語教授法 (TEFL)の学位を取得。イギリスの公的な国際文化交流機関であるブリティッシュ・カウンシルの東京オフィスにて講師育成に携わるなど、アジア諸国やイギリスにおいて英語指導の講師および経営層としての経験を積む。ロンドン・メトロポリタン大学のイングリッシュ・ランゲージ・センターで責任者を務め、ELTの最高品質責任者に就任。共著書に世界的ベストセラーであるビジネス英語の教科書「Market Leader」など。

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