お子様を英会話教室に通わせている保護者の皆様、「Hello」や「Apple」といった単語の暗記や、楽しいだけのゲームで満足していませんか? もちろん、英語に親しむことは大切です。しかし、AI翻訳が進化するこれからの時代、単に「英語が話せる」だけのスキルはコモディティ化していきます。
いま、世界の教育現場でスタンダードになりつつあるのが、「英語『を』学ぶのではなく、英語『で』考える力を育てる」というアプローチです。
それを実現するメソッドが、欧州発祥のCLIL(内容言語統合型学習:Content and Language Integrated Learning)です。 本記事では、CLILの仕組み、科学的な学習効果、そして日本で「本物のCLIL」を選ぶための視点を解説します。
CLIL(クリル)とは何か?
CLILとは、1994年にフィンランドのDavid Marsh氏らによって提唱された教育アプローチです。 その定義は、「教科科目(算数・理科・社会など)の学習と、外国語(英語など)の学習を統合した二重のアプローチ」とされています。
従来の英語教育(EFL: English as a Foreign Language)が、文法や単語そのものの習得を目的としていたのに対し、CLILでは「英語を使って、知的な内容(算数や理科)を学ぶ」ことに主眼を置きます。
なぜCLILが効果的なのか?
人間(特に子供)の脳は、意味のある内容に没頭している時、無意識のうちに言語を習得する能力(Incidental Learning)を持っています。 「This is a pen.」という退屈な構文練習ではなく、「なぜ水に氷が浮くのか?」という知的好奇心(Content)を刺激することで、英語を「学ぶ対象」から「使うツール」へと変化させるのです。
CLILを構成する「4Cs」フレームワーク
CLILが単なる「英語漬け」と違う点は、体系化された理論にあります。 上智大学の池田真教授なども提唱する「4Cs(フォー・シーズ)フレームワーク」を見てみましょう。

CLILを構成する4つの要素(4Cs Framework)
- Content(内容): 算数、理科、歴史などの教科知識。
- Communication(言語): 読む・書く・話す・聞くの4技能。
- Cognition(思考): 比較、分類、推論などの思考力。ここが最も重要です。
- Culture(文化): 異文化理解や多角的な視点。
特に重要なのは「Cognition(思考力)」
従来の英会話では、記憶(Remembering)などの「低次思考」が中心になりがちでした。 しかしCLILでは、「この三角形とあの三角形はどこが違う?(分析)」や「もし〜ならどうなる?(仮説)」といった「高次思考(Higher Order Thinking Skills)」を英語で行います。 脳に汗をかくような深い思考と言語学習を組み合わせることで、定着率が飛躍的に向上するのです。
「遊びの英語」と「本物の学び」の違い:Soft vs Hard
日本国内でも「CLIL」を謳うスクールが増えてきましたが、実は大きく2つのタイプに分かれます。ここを見極めることが非常に重要です。
特徴 | Soft CLIL(ソフト・クリル) | Hard CLIL(ハード・クリル) |
|---|---|---|
主な内容 | 英語で工作、料理、歌、簡単な生活習慣 | 算数、理科、社会、歴史などの教科学習 |
時間の比重 | 言語学習 > 内容学習 | 内容学習 ≧ 言語学習 |
目的 | 英語に慣れ親しむこと | 学力と思考力の向上、アカデミック英語の習得 |
日本の現状 | 英会話スクールの多くはこちら | インターナショナルスクールやELT英会話など少数派 |
思考力を鍛えるなら「Hard CLIL」一択
「Soft CLIL」も導入としては悪くありませんが、工作や料理では「Cognition(深い思考)」を鍛えるのには限界があります。 お子様の知的好奇心を満たし、将来インターナショナルスクールや海外大学で通用する「学習言語(CALP)」を身につけるには、算数や理科を扱う「Hard CLIL」が必要です。
CLILが子供の脳にもたらす3つのメリット
- 認知の柔軟性(Cognitive Flexibility)が高まる 異なる言語と思考を同時に処理することで、脳の実行機能が鍛えられ、マルチタスクや問題解決が得意になるといった研究結果があります。
- 学習動機(Motivation)が続く 「英語を勉強しなさい」と言われて喜ぶ子供はいません。しかし、「英語で恐竜の秘密を知る」「英語で算数パズルを解く」ことは、子供にとって楽しい「探究」になります。
- アカデミックな自信がつく 「英語で算数ができた!」という経験は、子供に強烈な自己肯定感を与えます。これは、単なる日常会話では得られない自信です。
日本で「本格的CLIL」を受けるには?
Hard CLILを実践するには、高い英語力だけでなく、「教科を教える指導力」を持った講師が必要です。一般的な英会話講師では、算数の概念や理科の実験を教えることは難しいため、日本では本格的なCLILを受けられる場所が限られています。
ELTのアプローチ:英国式カリキュラム × Hard CLIL
ELTは、日本で数少ない「Hard CLIL」をオンラインで提供するスクールです。
- 英国の教科書を使用: オックスフォード大学出版局などのネイティブ向け教科書(Math, Science)を使います。
- プロ講師による指導: ロンドンで駐在員子女を指導してきた実績を持つ講師が、英語「で」教科を教えます。
- 思考力重視: 単に用語を覚えるのではなく、「Why?(なぜそうなる?)」を常に問いかけ、論理的思考力を養います。
まとめ:「英語で学ぶ」が当たり前の時代へ
AIが翻訳を担う時代において、単なる「英語のおしゃべり」の価値は低下していきます。 しかし、「英語を使って情報を収集し、論理的に考え、議論する力」は、AIには代替できない人間のコアスキルとなります。
「英語を学ぶ」段階を卒業し、「英語で学ぶ」世界へ。 お子様の知的好奇心を武器にするCLIL教育を、ぜひ体験させてあげてください。



