インターナショナルスクールに通うお子様の保護者にとって、年に2〜3回送られてくる「MAPテスト(MAP Growth)」の結果レポートは、通知表以上にドキドキする瞬間かもしれません。
「RITスコアって何? 点数なの?」
「パーセンタイルが50%だったけど、これって平均? それとも低いの?」
「Mathは良いけど、Readingが下がってしまった…」
MAPテストは、日本の偏差値テストとは全く異なる仕組みで設計されています。そのため、正しい見方を知らないと、必要以上に焦ったり、逆に課題を見落としたりするリスクがあります。
本記事では、MAPテストのスコアの正しい読み解き方から、全米平均と「インター校内平均」のギャップ、そして無料でできる最強の対策ツールまでを徹底解説します。
1. MAPテスト(MAP Growth)とは? 3つの特徴
MAP Growth(Measures of Academic Progress)は、世界中のインターナショナルスクールで採用されている「学力測定テスト」です。
① 「天井がない」適応型テスト
最大の特徴は、コンピューター適応型(Computer Adaptive Test)である点です。 受験者が正解すると次の問題は難しくなり、間違えると易しくなります。 これにより、「学年レベルを超えた実力」を正確に測ることができます。例えば、小学3年生であっても、中学2年生レベルの数学力があれば、そのような難易度の問題が出題され、高いスコアが出ます。
② 偏差値ではなく「成長(Growth)」を見る
MAPの目的は、他人との競争ではなく「前回の自分より伸びているか」を見ることです。
年に3回(Fall / Winter / Spring)実施されるため、短期的な学習成果がグラフで可視化されます。
③ 科目は主に4つ
- Math(算数・数学)
- Reading(英語読解)
- Language Usage(文法・語法)
- Science(科学) ※学校による
2. 【保存版】スコアレポートの正しい見方
レポートには多くの数字が並んでいますが、見るべきは「RITスコア」と「パーセンタイル」の2つです。
① RITスコア=「身長」
RIT(リット)は、学年に依存しない絶対的な学力の「ものさし」です。
身長と同じで、学年が上がれば数値も上がっていきます。
- 見方: 「前回の205から210に伸びた!」というように、過去の自分と比較するために使います。
② パーセンタイル(Percentile)=「順位」
Percentile(%ile)は、全米の同学生徒の中で、どの位置にいるかを示す「偏差値」のようなものです。
- 99th Percentile: 上位1%(トップレベル)
- 50th Percentile: ちょうど真ん中(全米平均)
- 見方: 世の中全体との比較に使います。
【要注意】インターの「平均」は高い
ここが多くの保護者が誤解するポイントです。
レポートに「50th Percentile(Average)」と書かれていても、それはあくまで「アメリカの全生徒の中での平均」です。
教育熱心な家庭が集まる日本のインターナショナルスクール(特にASIJ、KIST、YISなどの進学校)では、校内平均が「60th〜70th Percentile」になっていることが珍しくありません。
つまり、「レポート上はAverage(50%)なのに、クラスの中では下のほう」という現象が起こり得ます。
トップ校を目指すなら、70th〜80th Percentile以上を一つの目安にすると良いでしょう。
3. 学年別・目標スコア目安表(2020 NWEA Norms)
以下は、全米平均(Mean RIT)の目安です。
「トップ校(Top Tier)」を目指す場合の目標ライン(概算)も併記しました。
Math(算数・数学)
日本人の子供は算数が得意な傾向にあり、高スコアが出やすい科目です。
Grade (学年) | 全米平均 (Average) | トップ校目標 (High Achiever) |
G1 | 160 - 176 | 185+ |
G2 | 175 - 191 | 200+ |
G3 | 188 - 202 | 215+ |
G4 | 199 - 213 | 225+ |
G5 | 209 - 221 | 235+ |
G6 | 215 - 225 | 240+ |
G9 | 225 - 230 | 255+ |
Reading(英語読解)
日本人生徒が最も苦戦するのがここです。Mathとの乖離に注意しましょう。
Grade (学年) | 全米平均 (Average) | トップ校目標 (High Achiever) |
G1 | 155 - 171 | 180+ |
G2 | 172 - 185 | 195+ |
G3 | 186 - 197 | 210+ |
G4 | 196 - 204 | 218+ |
G5 | 204 - 210 | 225+ |
G6 | 210 - 215 | 230+ |
G9 | 218 - 221 | 240+ |
4. スコア分析ケーススタディ:なぜReadingが伸びない?
よくある相談が「Mathは95%なのに、Readingだけ50%台で伸び悩んでいる」というケースです。
原因:Fictionは読めるが、Non-fictionが読めない
MAPテストのReadingには、物語(Fiction)だけでなく、科学記事や歴史的文献といった説明文(Informational Text)が多く出題されます。 ハリー・ポッターのような小説は好きで読んでいても、「論理的な文章」の語彙や構造に慣れていないと、一定レベル(Grade 3-4あたり)でスコアが頭打ちになります。
対策:「Lexile指数」を活用する
MAPの結果レポートには、お子様の読書レベルを示す「Lexile(レクサイル)指数」(例: 800L)が記載されています。 Amazonなどで洋書を探す際、このLexile指数に合った「Non-fiction(科学・伝記・歴史)」の本を選んで読ませることが、最も効果的な処方箋です。
5. 今日からできる!無料の最強対策ツール
「MAPテストのために塾に行くべきか?」という質問をよく頂きますが、まずは家庭でできる「公式推奨」の無料ツールを使い倒してください。
① Khan Academy「MAP Accelerator」
世界最大の無料学習サイトKhan Academyは、MAPテストを運営するNWEAと公式提携しています。
- 機能: お子様のMAPスコア(RIT)を入力するだけで、「今の実力にぴったりの練習問題」を自動で生成してくれます。
- メリット: 簡単すぎる問題も、難しすぎる問題も出ません。弱点単元だけをピンポイントで補強できます。
- 費用: 完全無料です。
② Newsela / CommonLit(Reading対策)
Reading対策には、ニュース記事や論説文を読めるサイトがおすすめです。
Newsela: 同じニュース記事を「Lexileレベル別」に書き換えて表示できます。お子様のレベルに合わせた難易度で、時事問題や科学記事を読む練習ができます。
結論:MAPは「健康診断」である
MAPテストの結果は、通知表のような「評価(審判)」ではありません。
あくまで、お子様の学習状況を知るための「健康診断(診断)」です。
「数値が悪いからダメだ」と叱るのではなく、「図形(Geometry)が弱いから、Khan Academyでそこだけ復習しよう」と、次のアクションを決めるための羅針盤として活用してください。
もし、スコアの読み解きに迷ったり、具体的な学習計画の立て方が分からなかったりする場合は、インターナショナルスクール専門のカウンセラーに相談することをお勧めします。


