「難しい単語を使っているのに、なぜかスコアが6.0から上がらない……」 「文法ミスは減らしたはずなのに、7.0の壁がどうしても越えられない」
IELTS Writing(ライティング)において、多くの日本人受験者がこの「Band 6.0の停滞期」に苦しんでいます。実は、Band 6.0と7.0の間には、単語力や文法力だけでは埋められない「論理と展開の壁」が存在します。
本記事では、IELTSの採点基準(Band Descriptors)に基づき、Band 6.0の回答をBand 7.0に引き上げるための具体的な修正ポイントを解説します。
1. IELTS Writing 4つの評価基準とは
まず、敵を知ることから始めましょう。IELTSライティングは以下の4つの基準で採点され、それぞれが25%の配点を持っています。
- Task Achievement / Response (TA/TR): 課題の達成度(設問に答えているか、展開は十分か)
- Coherence & Cohesion (CC): 一貫性とまとまり(話が繋がっているか)
- Lexical Resource (LR): 語彙力
- Grammatical Range & Accuracy (GRA): 文法力
多くの受験生は「語彙(LR)」と「文法(GRA)」ばかり気にしますが、Band 7.0の壁となっているのは、実は「タスク応答(TR)」と「一貫性(CC)」であるケースが非常に多いのです。
2. 【Task Response】「アイデアの羅列」から「深い展開」へ
Band 6.0と7.0の決定的な違いの一つは、「アイデアをどこまで深く展開(Extend)できているか」です。
- Band 6.0: アイデアは出しているが、説明が浅く、一般論で終わっている。
- Band 7.0: アイデアに対して「なぜ?(理由)」や「例えば?(具体例)」を加え、論旨を十分にサポートしている。
具体的な修正例(Before/After)
テーマ: 所得格差の社会への悪影響について
❌ Before (Band 6.0) "That imbalance does have a significant negative impact on society." (その不均衡は社会に重大な悪影響を与える。)
【採点官の視点】 「悪影響がある」と述べていますが、「なぜそれが悪影響なのか」「具体的にどんな影響か」が書かれていません。これでは「アイデアは提示されたが展開不足」と判断され、6.0止まりです。
⭕️ After (Band 7.0) "That imbalance can fuel serious social issues; for example, extreme income gaps have sparked public unrest and higher crime rates in some countries." (その不均衡は深刻な社会問題を引き起こす可能性がある。例えば、極端な所得格差は一部の国で社会不安や犯罪率の上昇を引き起こしている。)
【改善ポイント】 「社会不安」や「犯罪率の上昇」といった具体的な事象(Examples/Support)を加えることで、主張の説得力が格段に増しました。IELTSでは、このようにアイデアを深掘りすることが評価されます。
3. 【Coherence & Cohesion】「機械的な接続詞」からの脱却
次に重要なのが「話のつなぎ方」です。日本人がやりがちな「接続詞の乱用」は、実は減点対象になりかねません。
- Band 6.0: Firstly, Furthermore, On the other hand などの接続詞を文頭に機械的に置いている。
- Band 7.0: 指示語(This, That)や代名詞を使い、文と文を滑らかにつないでいる。
具体的な修正例(Before/After)
テーマ: エンターテインメント業界の高収入について
❌ Before (Band 6.0) "Firstly, the entertainment industry is extremely lucrative. In addition to that, members of it do not add real value to society. On the other hand, some people think entertainers deserve high pay."
【採点官の視点】 すべての文頭に接続詞があり、「機械的(Mechanical)」な印象を与えます。これはBand 6.0の典型的特徴です。
⭕️ After (Band 7.0) "The entertainment industry is extremely lucrative. This high income level, however, is not matched by a commensurate contribution to society. Some people argue that entertainers deserve their high pay, but I disagree."
【改善ポイント】
- "This high income level" のように、指示語+名詞を使って前の文の内容を受けています。
- 接続詞に頼らず、文脈の中で自然に逆説(however, but)を挿入しています。 これが「論理が滑らかにつながっている(Logically organises information)」状態です。
4. 【Lexical Resource】「難しい単語」より「正しいコロケーション」
「難しい単語を使えば点数が上がる」というのは大きな誤解です。無理に難語を使って使い方がズレるより、「自然な語の組み合わせ(コロケーション)」を使う方が7.0への近道です。
- Band 6.0: 難しい単語を使おうとして不自然になっている。コロケーションのミスがある。
- Band 7.0: 文脈に合った適切な語彙選択と、正しいコロケーションができている。
具体的な修正例(Before/After)
テーマ: 買い物の傾向について / 若者の犯罪について
❌ Before (Band 6.0)
- "Shopping is a beloved activity... its escalation in acclaim has merits and demerits."
- "Many young people do crimes these days."
【採点官の視点】
- "Beloved" や "escalation in acclaim" は文脈に対して大袈裟で不自然です。また、"do crimes" は典型的なコロケーションミスです。
⭕️ After (Band 7.0)
- "Shopping has become an increasingly popular pastime... bringing benefits as well as detrimental effects."
- "Many young people commit crimes these days."
【改善ポイント】
- "Popular pastime"(人気の娯楽)や "commit crimes"(犯罪を犯す)といった、ネイティブが自然に使う組み合わせ(コロケーション)が使われています。
- Band 7.0を目指すなら、単語帳の難語を覚えるよりも、こうした「セットフレーズ」を増やすことが重要です。
5. まとめ:7.0を超えるためのチェックリスト
Band 7.0の壁を超えるためには、以下の3点を自分のエッセイで見直してみてください。
- 展開(TR): アイデアを出しっぱなしにせず、「なぜ?」「例えば?」を書き足しているか?
- つなぎ(CC): Firstly, Secondly ばかり使わず、This/That で前の文を受けているか?
- 語彙(LR): 無理に難しい単語を使わず、commit a crime のような自然なコロケーションを使えているか?
採点基準を正しく理解し、意識的に「書き方」を変えることで、スコアは確実に変わります。もし独学での修正に限界を感じたら、プロの添削を受けて自分の「癖」を客観的に指摘してもらうのが最短ルートです。
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