大学出願や就職・転職活動において、IELTSのスコアが他の英語試験(TOEFL, TOEIC, 英検, Versant)でどの程度に相当するのかを把握することは戦略的に重要です。本記事では、文部科学省やETS(試験開発元)などの公的・公式データに基づき、信頼性の高い換算表と目安を解説します。
※注意:各試験は評価方法や出題内容が異なるため、換算はあくまで「目安」です。最終的な判断は、必ず出願先や採用元が公表している公式要件(募集要項)に従ってください。
この記事で分かること
共通指標: IELTSと他試験を「CEFR」を通じて横断的に比較
TOEFL: ETS公式の研究に基づく「Overall」および「4技能別」の換算
TOEIC: CEFRマッピングを用いたL&R/S&Wの技能別目安
英検: 英検CSEスコアとCEFRの対応関係
Versant: スピーキング中心の試験特性とCEFRレベルの対応
1. 結論:IELTSと他試験のスコア換算早見表(CEFR基準)
日本国内において複数の英語試験を比較する際、最も信頼できる指標となるのが「CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)」です。文部科学省などが公表している対照データを基に、IELTSのバンドスコアに対応する各試験の目安を整理しました。
【表A】CEFR基準 総合スコア換算表(目安)
CEFR | IELTS (Overall) | TOEFL iBT | TOEIC L&R | 英検 (級目安) |
C2 | 8.5 – 9.0 | 115 – 120 | 990相当 | – |
C1 | 7.0 – 8.0 | 94 – 114 | 945 – 990相当 | 1級 |
B2 | 5.5 – 6.5 | 46 – 93 | 785 – 940 | 準1級 ~ 1級 |
B1 | 4.0 – 5.0 | 31 – 45 | 550 – 780 | 2級 ~ 準1級 |
A2 | 3.5以下 | 30以下 | 550以下 | 準2級以下 |
出典:文部科学省資料、IELTS公式、ETS公表データ等を基に作成。
ポイント:
- ELTS 7.0は、TOEFL iBTで約95点前後、TOEICで945点以上、英検1級レベルに相当します。
- IELTS 6.0は、TOEFL iBTで60~78点、TOEICで740~820点、英検準1級レベルに相当します。
2. TOEFL iBTとIELTSの換算(公式データ)
大学留学などの出願において最も参照されるのが、IELTSとTOEFL iBTの換算です。この2つの試験については、TOEFL開発元のETSとIELTSパートナーによる共同研究が存在し、信頼性の高い「公式換算表」が公表されています。
【表B】IELTS Overall ↔ TOEFL iBT Total(公式)
IELTS (Overall) | TOEFL iBT (Total) |
9.0 | 120 |
8.5 | 115 – 119 |
8.0 | 110 – 114 |
7.5 | 102 – 109 |
7.0 | 94 – 101 |
6.5 | 79 – 93 |
6.0 | 60 – 78 |
5.5 | 46 – 59 |
出典:ETS "Compare TOEFL iBT Scores"13.
多くの大学学部留学で求められる「IELTS 6.5」は、TOEFL iBTでは「79~93点(概ね80点台後半)」に相当します1。
【表C】IELTS各技能 ↔ TOEFL各セクション(公式)
ETSは4技能ごとの詳細なスコア比較も提供しています。特定の技能(例:ライティング)の要件を確認する際に役立ちます。
IELTS (Band) | Reading (0-30) | Listening (0-30) | Speaking (0-30) | Writing (0-30) |
7.5 | 25 | 24 | 26 | 28 |
7.0 | 22 - 24 | 22 - 23 | 24 - 25 | 27 |
6.5 | 19 - 21 | 19 - 21 | 22 - 23 | 23 - 24 |
6.0 | 16 - 18 | 16 - 18 | 19 - 21 | 19 - 21 |
5.5 | 12 - 15 | 12 - 15 | 17 - 18 | 14 - 17 |
出典:ETS公式データより。
例えば、IELTSのライティングで6.5を取得するには、TOEFLのライティングセクションで23点程度が必要です。
3. TOEICとIELTSの換算(CEFR経由)
TOEICはビジネス英語に特化しており、IELTSとは試験形式が大きく異なります。公式な直接換算表はありませんが、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)を介してレベルを照らし合わせることが可能です。
【表D】TOEIC L&RスコアとIELTSの目安
IELTS (Band) | TOEIC L&R (目安) | CEFR |
7.0 – 7.5 | 945点以上 | C1 |
6.0 – 6.5 | 785点以上 | B2 |
4.0 – 5.0 | 550点以上 | B1 |
出典:CEFR基準に基づく換算データ。
ポイント:
- IELTS 6.5を目指す場合、TOEICでは800点台後半から900点近いスコアが一つの目安になります。
- ただし、IELTSはアウトプット(ライティング・スピーキング)を含むため、TOEIC L&Rが高得点でもIELTSスコアが伸び悩む、あるいはその逆のケースも少なくありません。
4. 英検とIELTSの換算(CSEスコア・級)
英検(実用英語技能検定)は国内での信頼性が高く、CEFRとの対応が明確化されています。
【表E】英検級・CSEスコアとIELTSの目安
IELTS (Band) | 英検 (級目安) | CEFR |
7.0 | 1級 (合格~上位) | C1 |
6.0 – 6.5 | 準1級 (合格) ~ 1級 | B2 |
4.0 – 5.0 | 2級 ~ 準1級 | B1 |
3.5以下 | 準2級以下 | A2以下 |
出典:文部科学省および英検協会CEFR対照表より。
ポイント:
- 英検1級合格はIELTS 6.5~7.0程度に相当します。
- 英検準1級はIELTS 5.5~6.0程度とされ、海外大学進学の基礎レベル(B2)に該当します。
5. VersantとIELTSの換算
VersantはAIを活用したスピーキングテストであり、ビジネスシーンでの英会話力測定によく用いられます。IELTSとの直接比較データはありませんが、ピアソン社が公表しているCEFR対応表から推測できます。
【表F】VersantスコアとIELTSの目安
IELTS (Band) | Versantスコア | CEFR |
6.5 – 7.0 | 69 – 78点 | C1 |
5.0 – 6.0 | 58 – 68点 | B2 |
3.5 – 4.5 | 47 – 57点 | B1 |
出典:Versant公式資料およびCEFRマッピングより。
注意点:
Versantは主に「聞く・話す」能力を測る試験です。IELTSのようなアカデミックな読解・記述能力とは評価軸が異なるため、この換算はあくまでスピーキング力を中心とした目安と考えてください。
6. 大学出願・就職・転職における活用戦略
大学出願(留学・国内入試)
- 海外留学: 学部レベルではIELTS 6.0~6.5(TOEFL iBT 80点前後)が標準的な要件です。
- 国内入試: 英検準1級またはIELTS 5.5~6.0以上で英語試験が免除・加点される大学が増えています。
就職・転職・キャリア
- 国内企業: 依然としてTOEIC(L&R)が主流です。目安として600点(英検2級/IELTS 4.5)、730点(英検準1級/IELTS 5.5)が区切りとなります。
- 外資系・海外事業: 実践的な英語力が求められるため、IELTS 6.5以上やTOEIC 800点以上が評価の対象となります。


