「3つの長文を読んで、40問に答える。制限時間は60分。」
IELTS(アイエルツ)のリーディングについてこう聞くと、「センター試験(共通テスト)と同じくらいかな?」と思うかもしれません。しかし、実際に解いてみると、多くの初心者が「2つ目の長文の途中で試験が終わってしまった」という洗礼を受けます。
IELTSリーディングは、単語力だけでなく「情報処理スピード」を極限まで試される試験です。
本記事では、元IELTS試験官が在籍するELTの知見に基づき、試験の仕組み、アカデミックとジェネラルの違い、そして初心者が時間内に解き終わるための「読み方のコツ」を解説します。
この記事で分かること
- 試験概要: 時間、問題数、Listeningとは違う「転記時間」の罠
- モジュール別: アカデミックとジェネラルの文章レベルと採点基準の違い
- 難所: 日本人が最も苦戦する「True / False / Not Given」問題の正体
- 学習法: 全文を読まない「スキャニング」の技術
1. IELTSリーディングの概要
まずは概要を知りましょう。リーディングは60分一本勝負です。
【表1】IELTSリーディング試験概要
項目 | 内容 |
試験時間 | 60分 |
問題数 | 40問(1問1点) |
構成 | 3つのセクション(Passage 1, 2, 3) |
文字数 | 合計 約2,150〜2,750語 |
解答形式 | 選択肢、穴埋め、見出し一致、正誤判定など |
元試験官の警告(重要):
リスニング試験には最後に「答えを解答用紙に書き写す時間(10分)」がありますが、リーディングには転記時間がありません。 60分以内に解答用紙への記入まで終える必要があります。「問題用紙に答えを書いたのに、書き写す時間がなかった」は初心者あるあるの失敗です。
2. アカデミックとジェネラルはどう違う?
リーディングは、モジュール(受験タイプ)によって問題の中身がガラリと変わります。
Academic(留学用):学術的な長文×3
- 内容: 科学雑誌、歴史、社会学、自然科学などの専門的な記事。
- 構成: 長文が3つ(各700〜900語程度)。
- 難易度: 語彙レベルが高く、抽象的な内容を含みます。
例:「オーストラリアの地下水管理の歴史」「ミツバチの脳神経の働き」
General Training(移住・就職用):生活密着型
- 内容: 広告、パンフレット、社内規定、一般的な雑誌記事。
- 構成:
- Section 1: 短い広告や案内が複数
- Section 2: 仕事に関する文書(求人、マニュアルなど)が2つ程度
- Section 3: 一般的な長文が1つ
- 難易度: 語彙は日常レベルで易しいですが、採点基準(スコア換算)が厳しいのが特徴です。
スコア換算の罠:
「Band 6.0」を取るために必要な正解数は以下の通りです。
- Academic: 40問中 23問 正解でOK
- General: 40問中 30問 正解が必要
ジェネラルは読みやすい分、ミスが許されない「高得点勝負」になります。
3. 日本人を悩ませる「魔の質問タイプ」
IELTSには多肢選択(A, B, C, D)以外にもユニークな問題があります。中でも初心者が混乱するのがこれです。
True / False / Not Given(正誤判定)
文章の内容と、設問文の関係性を答えます。
- TRUE (YES): 本文の内容と一致する。
- FALSE (NO): 本文の内容と矛盾する(反対のことが書いてある)。
- NOT GIVEN: 本文に書かれていない(情報がない)。
攻略のコツ:
「書いていないこと」を「書いていない」と判断するのは勇気がいります。「常識的に考えればNOだけど、本文には触れられていない」場合は、正解は Not Given です。自分の知識や推測を入れてはいけません。
4. 初心者がまずやるべき3ステップ勉強法
「時間が足りない」を解決するための、元試験官推奨のトレーニング手順です。
Step 1: 単語力を「IELTS仕様」にする
IELTSには頻出単語があります。特にAcademicを受ける場合、一般的な単語帳に加え、アカデミックな動詞や名詞(verify, implication, distinctなど)を覚えないと、問題文すら読めません。
Step 2: 「スキミング」と「スキャニング」を覚える
60分で2,500語を精読するのは不可能です。ネイティブも全部は読んでいません。
- スキミング(Skimming): 全体をざっと見て、どんな話題が書いてあるか「大意」を掴む読み方。
- スキャニング(Scanning): 設問のキーワード(数字、固有名詞など)を探すためだけに、視線を走らせる読み方。
Step 3: 「設問を先に読む」癖をつける
本文を読んでから設問を見ると、絶対に忘れて読み直すことになります。
「設問を読む」→「キーワードを記憶する」→「本文から探す」
この順番(サーチライト戦略)を徹底してください。
「読めているのに正解できない」とお悩みの方へ
リーディングは独学しやすい科目と言われますが、Band 6.0付近でスコアが停滞する人には共通点があります。
それは「単語の意味は分かっているのに、論理のひっかけ(Not Givenなど)で落としている」ことです。
ELTのアプローチ
ELTでは、ネイティブ講師が「なぜその答えになるのか」というロジック(思考回路)を徹底解説します。
- パラフレーズ(言い換え)の発見: 本文の "changed significantly" が設問で "major alteration" になっているような「言い換えのペア」を見抜く力を養います。
- Not Givenの判定: ネイティブが文章を読む時の「書かれていること/いないこと」の線引きを指導します。
「単語帳は覚えたのにスコアが上がらない」 「Not GivenとFalseの違いが腑に落ちない」
そんな方は、一度プロの解説を受けてみてください。



