「英語は聞き取れている。言いたいこともある。しかし、ネイティブ同士のマシンガントークに割って入る隙がない」 「議論が脱線しても、失礼にならずに本題に戻すフレーズが出てこない」
これは、TOEIC 900点を超えるハイクラスなビジネスパーソンから最も多く寄せられる悩みの一つです。
会議で発言権(Floor)を取れないのは、英語力の問題ではありません。「割り込み(Interruption)」と「ファシリテーション(Facilitation)」の戦術を知らないだけです。
市販のフレーズ集にある "May I say something?" のような表現は、グローバルなビジネス現場では「弱気」とみなされ、かえって発言力を下げてしまいます。
本記事では、多国籍チームの会議で「場の主導権(Authority)」を握り、議論を前進させるための高度な英語戦術を、元IELTS試験官レベルの講師陣の知見に基づき解説します。
なぜ、あなたの「丁寧な英語」は無視されるのか?
「沈黙=合意」ではない(ハイコンテクストの罠)
日本人は「察する文化(ハイコンテクスト)」ですが、欧米を中心とするグローバルビジネスは「ローコンテクスト」です。 エリン・メイヤー著『カルチャー・マップ』でも指摘されている通り、ローコンテクスト文化において「沈黙」は「意見がない(No Value)」か「理解していない」とみなされます 。

カルチャー・マップ:世界を8つの指標で理解する DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文
日本人がやりがちな「礼儀正しく発言の機会を待つ」態度は、グローバル会議では「貢献意欲がない」と誤解される最大のリスクです。「礼儀正しく、かつ強引に」割って入る必要があります。
1. ネイティブの議論を止める「割り込み(Interruption)」の戦術
ネイティブスピーカーが息継ぎをする「0.5秒の間」が勝負です。この一瞬を逃さず、かつ失礼にならないように介入するための「ブリッジワード(橋渡し言葉)」を使いましょう。
文脈に乗っかる "Bridge Words"
いきなり話題を変えるのではなく、相手の話を肯定しながら自分のターンに持ち込みます。
- "Piggybacking on that point, ..." (今の点に乗っからせていただくと…) 相手の発言を土台にして展開する、非常にネイティブらしい洗練された表現です。
- "To build on what [Name] said, ..." (〇〇さんの発言に関連して…) 前の発言者を立てつつ、主導権を自分に引き寄せます。
緊急停止の "Power Phrases"
議論が白熱しすぎて収拾がつかない場合や、致命的な誤解を正す場合は、強めの表現でカットインします。
- "Sorry to cut you off, but..." (遮って申し訳ないのですが…) "Interrupt" よりも強い表現です。緊急度が高い場合にのみ使用し、使用後は "Thank you for letting me interject."(割り込ませてくれてありがとう)とフォローを入れるのがプロの作法です 。
2. 議論を支配する「ファシリテーション」のキラーフレーズ
会議の生産性を上げるためには、ダラダラ続く議論を「切る」勇気が必要です。
脱線を修正する "Parking Lot Method"
誰かが本題と関係ない話を延々と始めた時、角を立てずに話を終わらせるテクニックです。
- "That’s an interesting point. Let’s put it in the 'parking lot' for now and come back to it later." (興味深い点ですので、一旦「パーキングロット(駐車場)」に置いて、後ほど戻りましょう) 相手の意見を否定せず、「今は扱わない」ことだけを合意させる強力なメソッドです。社風によっては "Let's note that down..." と言い換えても良いでしょう。
議論を強制終了させる "Time Constraint"
- "In the interest of time, I suggest we move on." (時間の都合上、次に進みましょう) 「私の都合」ではなく「時間の都合」にすることで、客観的かつ強制的に議論を打ち切ることができます。
アクションを確定させる "Alignment"
- "Let's align on the next steps." (次のステップについて認識を合わせましょう) Align(足並みを揃える)は、外資系マネジメント層が好んで使うパワーワードです。会議の最後は必ずこの言葉で締め、誰が何をするかを明確にします。
3. オンライン会議特有のトラブル対処法
音声ラグで発言が被った時
ZoomやTeamsでは避けられない「発言被り」。譲るだけでは、自分のターンは永遠に来ません。
- "Please, go ahead. I'll follow up right after." (お先にどうぞ。そのすぐ後に続けます) 単に譲るだけでなく、「次は自分が話す」と予約を入れるのがポイントです。
聞き取れなかった時の「知的な」切り返し
"Pardon?" だけでは頼りない印象を与えます。自分の理解を示しつつ確認しましょう。
- "Just to clarify, are you suggesting that...?" (確認ですが、…というご提案でしょうか?) 相手の発言を要約して返すことで、「理解しようとしている姿勢」と「知性」を同時にアピールできます。
NGリスト:「権威」を下げる言葉
ビジネスエリートほど、丁寧さを意識しすぎて「弱気な英語」になりがちです。以下の表現は、会議の場では極力避けましょう。
- ❌ "May I say something?" (発言してもいいですか?) 許可を求める姿勢は、リーダーシップに欠けるとみなされます。 "Let me just add..." と宣言して入りましょう 。
- ❌ "I think maybe we should possibly..." (たぶん、おそらく…したほうがいいと思うのですが) 自信のなさが露呈します。確信がなくても "In my view..." や "I believe..." を使いましょう 。
- ❌ "I'm not an expert, but..." (専門家ではありませんが…) 不要な謙遜(セルフ・ディスカウント)は、発言の価値を自ら下げる行為です 。
結論:英語力よりも「型」と「マインド」
グローバルな会議で評価されるのは、流暢な発音よりも「議論を前進させる発言(Contribution)」です。
今回ご紹介した "Piggybacking" や "In the interest of time" といったフレーズは、マッキンゼーやゴールドマン・サックスなどのグローバルファームで日常的に使われているコミュニケーションの「型」です 。
これらを武器として使いこなし、遠慮という殻を破ることで、ビジネスプレゼンスは劇的に向上します。
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